ASEANの安全保障はベトナム東部海域の安定と結び付けるべき


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カンボジアのプノンペンで、王毅外相(右)とカンボジアのプラック・ソーコン外相=ロイター


24日、中国の王毅外相はラオス、カンボジア、ブルネイ東南アジア3か国の歴訪を終えました。この訪問は、ベトナム東部海域(南シナ海)で軍事拠点化を進める中国の主権主張が不当だとしてフィリピンが申し立てている常設仲裁裁判所(オランダ・ハーグ)の判断が迫るなかで行われました。

北京、ASEAN内の同盟国を探る

東南アジア3カ国を歴訪後、中国の王毅外相は記者会見を行い、「中国と訪問先のASEAN3カ国は、南シナ海での紛争は『中国とASEAN加盟諸国全体との問題ではない』とのことで合意を達成した。」と発表しました。また、中国と、ラオス、カンボジア、ブルネイは「それぞれの国には、国際法に従って、紛争の解決策を選ぶ権利がある。他の国はこの権利を尊重すべきだ。」と強調しました。

王毅外相の東南アジア3カ国歴訪は、フィリピンが申し立てた国際的な仲裁裁判の判断が5月末か6月始めに出る見通しの背景の中で行われました。これに先立ち、中国は、ベトナム東部海域での争いは直接の当事国の対話で解決すべきだと主張し、裁判を受け入れないと発表しており、中国の立場への支持を広げようという動きを進めてきました。そこで、今回の東南アジア3カ国歴訪はベトナム東部海域問題を巡る、訪問先3カ国の支持を受ける目的に過ぎないと見なされました。

他方、執筆すべきことは今年夏に予定されているASEAN外相会議には、カンボジア、ラオス、ブルネイの新外相が参加するということです。それだけでなく、今年のASEAN外相会議の主催国はベトナム東部海域での領有権問題と直接関係がないラオスです。ですから、中国がASEAN外相会議の前に、この3カ国に自国の外相を派遣することは偶然ではないでしょう。

専門家らは、この歴訪の目的は、ベトナム東部海域の紛争を巡ってASEAN東南アジア諸国の分断を狙う意図であると指摘しました。

ASEANの団結に懸念?

ASEANのある外交官は「中国は、常設仲裁裁判所の最終判決が下された後に、ASEANが共同コミュニケを出すことに懸念している。そこで、王毅外相による東南アジア3カ国歴訪はASEAN加盟国の支持を呼びかけることが狙いである。」との見解を明らかにしました。専門家らによりますと、フィリピンが申し立てた国際的な仲裁裁判の判断が近く出る見通しのなか、これは、ASEANに対する中国の公開的な動きであるとしています。

その一方で、25日、インドネシアで、レ・ルオン・ミンASEAN事務総長はベトナム東部海域問題に関するASEANの立場を改めて強調しました。それは、国際法と1982年の国連海洋法条約、あらゆる紛争を平和措置で解決する原則、ベトナム東部海域の現状を変更させる行動を抑制する原則を遵守し、2002年に中国とASEANが調印した海上の行動宣言、及び海上行動規範の早期締結に関する合意を効果的かつ十分に実現するよう要請しました。これは、ASEAN加盟諸国の重要で、一貫した立場となっています。

平和・安定・発展のASEANはベトナム東部海域における不可欠な存在です。この複雑な問題の解決に向けて、団結のASEANの構築は、ASEAN、とりわけ、来る7月にラオスで開催される第49回ASEAN外相会議の議事日程の中に盛り込まれるはずです。これは、ASEAN共同体が発足されたばかりの背景の中で、ASEAN団結を見極める試金石となります。

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