ASEAN政治・安全保障共同体構築へのベトナムの貢献
今年の大晦日にASEAN共同体が正式に発足します。ベトナム東部海域いわゆる南シナ海問題をはじめ、地域情勢が複雑に推移している背景の中で、ASEAN政治・安全保障共同体は重要な柱となり、地域と国際問題の解決におけるASEANの中核的な役割の向上に寄与すると見られます。
ASEAN政治・安全保障共同体づくりの目的は加盟諸国間、及び域外諸国との政治・安全保障分野での協力の強化や、ASEAN内の平和、公平、民主、和合の確保にあります。また、この共同体は政治、経済、文化・社会、環境分野などで安全保障問題への全面的なアプローチを促進し、政治分野での協力を強化し、武力を行使しないと同時に平和的措置で紛争を解決することを奨励し、域外諸国との関係を拡大する一方、ASEANの中核的な役割を確保することが狙いです。
地域の安全保障におけるASEANの役割
ASEANは創立以来43年間にわたり、ASEANは加盟10カ国を擁した上で、協力様式や内容など、大きな変貌を見せ、地域の平和、安全保障を維持し、加盟諸国に対外関係の拡大や国際社会への参入に条件を作り出すことに努力しています。現在、ASEANの協力は加盟10カ国に限らず、ASEAN+1、ASEAN+3、EAS=東アジアサミット、ARF=ASEAN地域フォーラムなどにも拡大されています。
しかし、現在、ASEANは領土紛争をはじめ、様々な試練に直面しています。こうした状況の中、ASEANは地域協力の強化、COC=海上行動規範の早期作成を主体的にあたらなければなりません。先頃、行われた第26回ASEAN首脳会議で、ASEAN 議長国を務めているマレーシアのラザク首相は安全保障問題の解決に際してのASEAN内の団結を強調し、次のように語りました。
(テープ)
「域外諸国との協力の強化を公約する傍ら、域内問題、とりわけ係争地域に対する主権の主張を平和的に解決し、緊張の悪化を回避する必要があります。最近の動きは南シナ海問題への懸念を招いた上で、国際通商に対するこの海域の重要性を示しています。ですから、ASEANは建設的かつ積極的な立場で、国際法、中でも1982年国連海洋法条約に従って、これらの問題を主体的に解決する必要があります。」
ベトナム、ASEAN政治・安全保障共同体の構築に積極的に参加
ベトナムはこの20年間、ASEANの責任感ある加盟国として、強固なASEAN共同体づくりに力を尽くしてきました。
ベトナム東部海域、いわゆる南シナ海での人工島の建設や大規模な改造を前に、ベトナムは同海域での係争に関わる国として、団結の精神を掲げ、自制をし、情勢を複雑化しないと同時に国際法、中でも1982年国連海洋法条約を基礎に平和的措置で紛争を解決すると主張し、DOC=海上行動宣言を完全履行し、COC=海上行動規範の早期作成に取り組んでいます。先頃のASEAN外相会議で、ベトナムのファム・ビン・ミン副首相兼外相は次のように語りました。
(テープ)
「ASEAN諸国はASEANと中国とのCOCの作成を加速させる必要があるという見解で一致しました。COCは東部海域の平和、安全保障、航行の安全、安定を確保する手段となります。これはベトナムと地域諸国だけでなく、域外諸国の共通の関心事となっています。ASEANの積極的なメンバーとしてベトナムは信頼醸成措置やASEAN友好協力条約などを提案しました。この条約は2015年以降の平和で安定した地域の構築に向けています。」
ASEANは中核的な役割を発揮しつつあり、地域の平和、安定、発展に積極的に貢献しています。ベトナムは加盟諸国と力を合わせ、団結と協力を強化し、「政治、経済分野を中心に連携を強め、社会的責任感を高め、加盟諸国の国民が平和、安全保障の確保、長期的な安定と繁栄かつ進歩的な社会で暮らせる」というASEAN共同体のビジョンの現実化に向けて、取り組んでいます。