(VOVWORLD) - 今年の年次総会は「分断された世界における協力の姿」をテーマとし、各国の首脳や国際機関トップ、企業幹部など2700人以上が参加しました。特に、各国から過去最高の52人の首脳が出席しています。
既にお伝えしましたように、16日、スイス東部のダボスで、WEF=世界経済フォーラムの53回年次総会(ダボス会議)が開幕しました。今総会は世界経済の課題解決を目指し、国際協力の強化策や、試練を乗り越えるための方法を討議・提案する場となります。
今年の年次総会は「分断された世界における協力の姿」をテーマとし、各国の首脳や国際機関トップ、企業幹部など2700人以上が参加しました。特に、各国から過去最高の52人の首脳が出席しています。
スイスの東部、オーストリアとイタリアの国境に近い場所に位置するダボス=ロイター |
課題が山積する世界の背景
WEFの今総会は、世界経済がかつてないほど大きな試練に直面している背景の中で開催されました。
中でも、気候変動や、新型コロナウイルス感染症、ロシア・ウクライナ紛争問題などの深刻な影響があります。気候変動対策は今回の会議の重要テーマの一つで、初日の開幕記念フォーラムでは気候変動を抑えるための新たな生活スタイルなどが議論されました。
WEFで年次総会を統括するミレック・デュシェック取締役は16日、日本経済新聞の取材に対し、エネルギー供給と気候変動対策など長期的に重大な結果をもたらす議論にも取り組むと説明し、「難しいテーマは、現在の技術だとオンラインでは率直な議論がしづらい」と指摘し、対面の会議によってより有意義なやりとりにつながるとの見方を示しました。また、総会に合わせて公表されたエコノミストや企業トップを対象とした調査結果では、世界経済の先行きに悲観的な見方が強まっていることが示されています。
IMF=国際通貨基金や投資銀行、多国籍企業などのエコノミストを対象に実施したWEFの調査によりますと、回答者の3分の2が2023年に世界的な景気後退(リセッション)に陥る可能性を懸念していることが分かりました。世界的な景気後退の公算が「極めて大きい」という回答は約18%で、22年9月に実施された前回調査の2倍以上となりました。
WEFのマネージングディレクター、サーディア・ザヒディ氏は「現在の高インフレや低成長、高債務、分断化が進む環境は、成長回復や世界で最も脆弱な人々の生活水準の引き上げに必要な投資のインセンティブを低下させている」と指摘しました。
WEFのクラウス・シュワブ会長=AP |
困難を乗り越えるための協力強化
エコノミストらによりますと、WEFが「分断された世界における協力の姿」を今総会のテーマとしたことは世界経済の深刻な現状を示しながら、世界各国に対し、「試練を乗り越えるため、協力を強化していくように」とのメッセージを発信しているとしています。
そのため、エネルギー・食糧危機や、各国の経済衰退、労働力不足、人道支援などとその解決策が主要議題となりました。
WEFのクラウス・シュワブ会長は声明で、今日の課題として政治的、経済的、社会的な分断が世界と国家レベルで拡大している点を挙げました。政府と企業の連携による信頼回復とともに、経済開発を持続可能なものにし、取り残される人を生まないことが重要との見方を示しました。
ダボス会議は新型コロナウイルスの感染拡大を受け、2021年はオンライン会合「ダボス・アジェンダ」が開催されました。22年は対面での開催となりましたが、感染状況を踏まえて時期が通常の1月から5月に延期されました。通常の1月の対面開催は20年以来、3年ぶりとなります。
今総会が世界経済の困難解決に貢献し、「誰一人取り残さない」という目標の実現性を高めることが期待されています。