(VOVWORLD) -文化は国の持続可能な発展を支える内なる力の源泉であると同時に、国際統合の時代において、ベトナムと世界各国をつなぐ友好と協力の架け橋としての役割も担っています。
古都フエ遺跡保存センターは、観光客向けにテクノロジーを活用したサービスを展開している。 |
ベトナム共産党政治局が採択した「科学技術・イノベーション・国家デジタル変革の画期的発展に関する決議第57号」は、知識による経済発展の指針であるとともに、デジタル環境を通じてベトナム文化の国際化と世界文化のベトナムへの導入・適応という新たな可能性を切り開いています
ベトナムは今、国際舞台で存在感を高め、力強い発展を遂げようという大きな志を抱いて新たな段階に入っています。文化は国の持続可能な発展を支える内なる力の源泉であると同時に、国際統合の時代において、ベトナムと世界各国をつなぐ友好と協力の架け橋としての役割も担っています。
デジタルインフラ 文化創造と普及の新たな基盤
国会文化教育委員会常任委員のブイ・ホアイ・ソン准教授は、デジタル変革について「単なる保存手段ではなく、文化をより広く深く普及させるための重要な鍵となる」と指摘しています。百年の歴史を刻んだ織物の文様が仮想現実空間で鮮やかによみがえり、ベトナムの民俗劇「チェオ」や宮廷雅楽の調べがワンクリックでオンラインプラットフォームに響き渡ります。
伝統的な祭りも特定の場所に限定されることなく、3D技術や仮想現実によって再現され、世界中の人々がどこにいても臨場感あふれる体験を味わうことができます。文化遺産はもはや地理的制約に縛られることなく、国境を越えて何百万人もの人々の心に届けることができるのです。
ソン准教授 |
こうした背景から、文化コンテンツの制作と配信におけるデジタル変革は単なる流行ではなく、ベトナム文化を世界に統合していく上で不可欠な要素となっています。ブイ・ホアイ・ソン准教授は次のように語りました。
(テープ)
「現代において、世界はテクノロジー、情報、そして知識・芸術・人々の国境を越えた交流によって、ますます緊密に結びついています。文化はもはや一国の内政問題に留まらず、共通言語として、新しい外交手段として、国際関係における重要なソフトパワーとして、そして持続可能な発展の原動力として機能しています。ベトナム文化の国際化と国際文化のベトナムへの導入・受容という戦略は、非常に先進的な発想であり、拡張性と統合性を兼ね備えた文化ビジョンを示していると考えます」
決議第57号は、文化産業・エンターテインメント産業の発展、高品質なデジタル文化コンテンツの構築・発展、文化・文化遺産データベースの構築推進を目的としたデジタル変革の必要性を明確に打ち出しています。
今年1月にハノイで開催された同決議の全国徹底会議において、ファム・ミン・チン首相も次のように強調しました。
(テープ)
「文化産業・エンターテインメント産業の発展に向けて、デジタル変革を推進し、高品質なデジタル文化コンテンツを構築・発展させます。文化・文化遺産に関するデータベースの構築を促進します。ベトナム固有の文化を国際化するとともに、世界の優れた文化をベトナムに導入・受容します。」
多様性の中での適応力
その一方で、テクノロジーを介した国際文化のベトナムへの導入・受容は、向学心、開放性、そして主体的な学習精神の表れでもあると、ブイ・ホアイ・ソン准教授は指摘します。これこそが、国際統合を成功させつつ、独自性を維持するための条件であると言えるでしょう。
ベトナムは数千年に及ぶ文化的基盤を有し、54の民族がそれぞれの豊かな遺産を育んでいます。ブイ・ホアイ・ソン准教授は、「若い世代が伝統を大切にしつつ、グローバルな視点も身につけられる環境を整備することが重要です」と述べています。
(テープ)
「世界の優れた文化を積極的に取り入れることで、国内の文化生活はより豊かになり、若い世代は視野を広げることができます。伝統的な基盤を大切にしながら、グローバルスタンダードにも触れることができるようになるでしょう。これこそが、対話を重ね、互いに耳を傾け、多様性を受け入れながら変化に対応していく社会を築くための方法だと考えます」
ベトナム文化の国際化と、国際的な文化のベトナムへの導入・受容は、世界をベトナムに引き寄せ、ベトナムをより力強く世界へと発信していくでしょう。この動きはテクノロジーとデジタル化によって大きく後押しされており、その中で決議第57号は極めて重要な役割を果たしています。