トランプ前大統領の暗殺未遂事件巡り

(VOVWORLD) - 先週、選挙集会でアメリカのドナルド・トランプ前大統領が選挙集会の演説中に銃撃され、けがをした事件は、先週の最も際立った事件です。これは、アメリカ大統領選挙があと4か月で行なわれる背景の中で、米国をはじめ、世界の政界に対するこの事件の影響が注目されています。
 トランプ前大統領は、13日に行った東部ペンシルベニア州での選挙集会で演説中に銃撃を受け、右の耳にけがをしました。また集会の参加者1人が死亡し、2人が大けがをしました。トランプ前大統領は銃弾が右耳に当たったにもかかわらず、数時間後に病院を退院できるほど、大きなけがはしなかった。しかし、前大統領である大統領選候補を狙ったとみられる銃撃が発生した事実と、銃弾が命を奪ったかもしれない可能性もあることから、今回の事件は大きな波紋を広げるものとみられています。
FBI=連邦捜査局は、銃撃に関与した疑いでその場で射殺された男について、地元に住むトーマス・クルックス容疑者、20歳と特定し、トランプ氏への暗殺未遂事件として捜査を進めています。事件を受けてアメリカでは民主、共和両党から銃撃を非難する声明が相次ぎ、バイデン大統領も「このような政治的な暴力は前代未聞で不適切だ」と非難しました。
政治的得失からすると、今回の事件は他のイシューを帳消しにし、少なくとも短期的にはトランプ前大統領に有利な局面を作るものとみられます。銃撃犯が誰で、どんな動機だったのかも状況展開に大きな影響を及ぼす可能性があります。政治の二極化が進みバイデン大統領との対決が加熱する状況で発生した今回の事件で、米国の政治・社会的緊張はより一層高まる見通しです。
米国政治の深刻な対立は、2020年の大統領選挙直後にトランプ前大統領が結果に従わず発生した「1・6議事堂乱動」事件で、どれほど危険なレベルに達したかが明らかになりました。今回もトランプ前大統領の支持者が銃撃自体を非難し、これに関する陰謀論を唱え、過激な行動に出る可能性を排除できないとみられます。結局、トランプ前大統領との初めてのテレビ討論後、民主党大統領候補辞退論に苦しむバイデン大統領にとっては、今回の事件がもう一つの悪材料となる可能性があるとみられています。

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