世界の銀行・金融分野について

(VOVWORLD) -  米国でシリコンバレー銀行や、シグネチャー銀行(同29位)が破綻しました。また、欧州ではスイスの金融機関最大手UBSが同2位のクレディ・スイス・グループの買収を発表するなど、海外の銀行にも不安が拡がっています。
この1週間、信用不安の広がりを懸念し、市場は大きく動揺しました。当局の対応などで市場はやや落ち着きを取り戻しましたが、情報が瞬く間に拡散する新たな時代の危機対応の難しさもクローズアップされています。

2008年9月のリーマンショック後、世界的に超低金利の環境が続いてきました。有り余った資金は、一部の暗号資産やIT関連企業への投資に向かいました。その様相は、投資というよりむしろマネーゲームに近かったです。「買うから上がる、上がるから買う」の循環の中で、多くの資金がゲームに踊ったのです。ゲーム感覚で株や仮想通貨を買う個人も相場に参入し、マネーゲームに踊る投資家は増えていました。

22年3月以降、米FRBは利上げを開始せざるを得なくなりました。金利上昇は株価を下落させ始め、徐々に過度な楽観はしぼみ、ゲームは終焉を迎えることになります。そうした状況下、過度なリスクテイクが裏目に出たことで、シリコンバレー銀行などは破綻した。ゲームの宴は終焉しつつあります。それは過去、幾度も繰り返されてきた『いつか来た道』です。

ただし、現在の世界経済の状況は、リーマンショック後の調整局面とは異なります。米国を中心にインフレ懸念は強いです。中央銀行はインフレの鎮静に取り組みつつ、マネーゲームの後始末や景気下支えに取り組まなければなりません。これらの要件を同時に満たすことは至難の業です。実質的に金融緩和の余地がなくなったわが国の景気回復は、かなり緩慢にならざるを得ないかもしれません。

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