韓国非常戒厳」巡り

(VOVWORLD) -先週、韓国のユン大統領は、緊急の談話を発表し来年の予算案に合意しない野党側の対応などを理由に「非常戒厳」を宣言し、戒厳司令部が国会や地方議会での一切の政治活動を禁じることやすべてのメディアが統制を受けるなどとする「布告令」を発表しました。

非常戒厳が宣言された後、国会議事堂の周辺には多くの人が集まり、「大統領は辞めろ」などとシュプレヒコールをあげ、閉じられた門の前で警察ともみ合いになる場面もありました。また、上空では一時、軍のものとみられる複数のヘリコプターが飛ぶ様子が見られました。一方で、国会から少し離れた場所ではふだんと大きく変わった様子は見られず、人々や車が行き来していました。

ただ、韓国の通信社、連合ニュースは非常戒厳の宣言について「偽のニュースではないのか」とか「何が起こるかわからない」などと困惑する市民の声を伝えています。
韓国の国会は、4日未明に本会議を開き、非常戒厳の解除を要求する決議案を全会一致で可決すると、午前5時ごろ閣議が開かれて、非常戒厳は解除されました。こうした中、韓国大統領府は首席秘書官などの高官らが一斉に辞意を表明したと明らかにし、現地メディアは、非常戒厳をめぐる一連の動きの影響だと伝えています。
最大野党などは大統領の弾劾を求める議案を国会に提出し、与党議員が議案に賛成するのかどうか、その動向に注目が集まっています。国会議事堂の正門前には集まった市民がユン大統領の辞任を求めて抗議活動を行っていて、批判の声が強まっています。非常戒厳の宣言から一夜明けてソウルの市民からは「軍事力で政治活動を統制しようとするなんてこんなことがありえるのか」とか、「大統領の弾劾も考えなければならない」と批判の声が相次ぎました。

韓国の検察当局は8日、尹錫悦大統領の3日夜の非常戒厳宣布に関与した疑いで金竜顕前国防相を拘束したと発表しました。

4日に国防相を辞任した金氏は戒厳令宣布の中心人物とみられていました。軍高官や野党議員による尹大統領の弾劾訴追の申し立てによれば、金氏が大統領に宣布を提案しました。

聯合ニュースによりますと、金氏は現地時間8日午前1時30分ごろにソウル中央地検に出頭しました。特別捜査チームが金氏を取り調べ、身柄を拘束しました。
また、韓国のユン・ソンニョル(尹錫悦)大統領が一時宣言した「非常戒厳」をめぐり、警察を管轄するイ・サンミン(李祥敏)行政安全相が8日に辞意を表明し、大統領府によりますと、辞任が認められました。イ行政安全相は、声明で「大統領をうまく補佐できなかった責任を重く受け止めるとともに、国民に申し訳ない気持ちだ」としています。

イ行政安全相は、ユン大統領や、8日に検察に身柄を拘束されたキム・ヨンヒョン(金龍顕)前国防相とともに、内乱などの疑いで野党側に告発されています。

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