プーチン大統領 「戦略的安定のため米ロ会談必要」

【ブエノスアイレス=古川英治】ロシアのプーチン大統領は1日、G20=20カ国・地域首脳会議出席のため訪問中のブエノスアイレスで記者会見しました。

ロシアがウクライナの艦船を拿捕(だほ)した事件を理由にトランプ米大統領が米ロ首脳会談を見送ったことについて「戦略的安定のために会談が必要だ」と訴えました。ロシア側は前提条件なしに会談を開く用意があると強調しました。

トランプ氏がINF=中距離核戦力廃棄条約を破棄する方針を示しているため、「戦略的な安定について議論できなかったのは残念だ」などと語りました。シリアやアフガニスタン、北朝鮮の問題も挙げて米ロ会談の重要性を強調し、「アメリカが準備を整え、会談が実現することを願っている」と述べました。

これに対し、ポンペオ米国務長官は1日のCNNテレビのインタビューで、米ロ首脳会談の開催はロシアが拿捕したウクライナ艦船と乗組員の解放が前提条件となると表明しました。プーチン氏はG20首脳会議の場でトランプ氏と短時間接触した際に拿捕事件を巡る質問に答えたと明かしたうえで、アメリカの立場は変わらなかったと指摘しました。

プーチン政権は11月、黒海とアゾフ海を結ぶケルチ海峡でウクライナ艦船を攻撃し、拿捕しました。ウクライナ側が領海を侵犯したとするロシアに対し、欧米はロシアの力の行使を非難し、乗組員の即時解放を求めています。プーチン氏は会見でウクライナ側による「挑発行為」との主張を繰り返し、「ウクライナの政権は紛争を終わらせることに関心がない」と批判を強めました。

プーチン氏は1日に開いたサウジアラビアのムハンマド皇太子との会談にも言及し、OPEC=石油輸出国機構とロシアが協力する枠組みを維持することで一致したとしました。皇太子の関与が疑われるサウジ人記者殺害事件については「皇太子がG20の会合で説明した」と述べるにとどめました。

 

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