既にお伝えしましたように、5日、ベトナムとEEU=ロシア、ベラルーシ、カザフスタン、アルメニア、キルギスで構成するユーラシア経済連合とのFTA=自由貿易協定が10月5日に本格的に発効されました。 FTAの発効は、ベトナムの各企業に大きなチャンスを切り開くと期待されています。
ベトナムとユーラシア経済連合とのFTA協定は2013年3月に開始され、 2015年5月29日にカザフスタンで正式署名されました。このFTAの発効で、ベトナムとユーラシア経済連合はそれぞれの国内市場の9割を開放すること を公約しています。
このFTAが発効されてから1年目、輸出業者は4000万ドル相当が節税できるようになると予測されています。商工省・欧州市場担当局のダン・ホアン・ハイ局長は、「ベトナムがユーラシア経済連合とFTAを締結する最初の国であることから、企業にとって大きなメリットとなる」との見解を示し、次のように語りました。
(テープ)
「この国家レベルの協定は、全面的なFTAです。というのは、開放されるのは商品だけでなく、投資とサービスでもあるからです。これは、ユーラシア経済連合が一カ国と締結する初の協定でもあります。そのため、双方関係に突破口を切り開くものとなるでしょう。」
現在、およそ940社の企業がユーラシア経済連合加盟諸国に輸出活動を行っています。その中のおよそ200社は水産物、コーヒー、ゴム、お茶、米、カ シューナッツ、胡椒、縫製、履物、木工製品、お菓子を主に輸出しています。
ベトナム駐在ロシアのK.V.ブヌコフ大使は、「FTAが発効されることで、ベトナムとEEU双方は品目ベース、貿易額ベースともに約90%の関税を撤廃する」と明らかにし、次のように語りました。
(テープ)
「この協定は、貿易量の増加だけではなく、投資や、労働、技術などの分野にも有利な条件を作り出します。これにより、ベトナムは優先対象として、GDP=国内総生産がおよそ2兆2000億ドルに上るこの市場にアプローチできるようになります。一方、ユーラシア経済連合加盟諸国も9000万人の人口を持つベトナム市場に進出できるようになります。」
さらに、このFTAにより、向こう数年、ベトナムとEEUとの貿易額は現在の40億ドルから80ないし100億ドルに増加すると予測されています。FTAが発効されることで、ベトナムは59%の関税を即時撤廃します。
ベトナムがユーラシア経済連合諸国からの輸入品に課する平均税率は10%から1%に下がります。商工省・欧州市場担当局のダン・ホアン・ハイ局長は次のように語りました。
(テープ)
「この協定がもたらすメリットを活用するために、双方は、運輸、税関、政策などの面で、互助措置を取る必要があります。双方は、2020年をめどに貿易額を100~120億ドルにするという目標を設定していますが、この目標達成へ向けて、ベトナムはユーラシア経済連合の各機関の支援を必要とします。」
このFTAがもたらすメリットは明らかですが、多くの試練も伴うことが指摘されています。まず、ユーラシア経済連合所国の企業との競争の圧力です。また、エコノミストらはベトナム各企業に対し、それぞれの品目の関税について詳しく研究するとともに、物流コスト削減のため、物流拠点を整える必要があると勧告しています。
これに関し、ベトナム経済協会のグエン・クアン・タイ副会長兼理事長は次のように語りました。
(テープ)
「ある市場に進出しようとするとき、その市場の需要に関する理解を深める必要があります。また、市場の特徴、規定などについても研究しなければなりません。同時に、製品の品質に関する要求や、技術的障壁などについても把握する必要があります。さらに、政府は製品の原産地証明などの面で、企業を支援する必要があります。」
ユーラシア経済連合市場は大きな潜在力を持つ市場です。そして、この市場に進出することはベトナム企業に大きな利益をもたらします。こうした中、ベトナムとユーラシア経済連合とのFTA協定の発効は、双方にとって大きなチャンスとなっています。同協定の恩恵を生かすことは、双方の貿易取引の推進に繋がるだけでなく、ベトナムとユーラシア経済連合加盟5カ国との協力関係の強化にも寄与するでしょう。