(VOVWORLD) - ベトナムは現在、ホーチミン市に包括的な国際金融センターを、中部ダナン市に地域の金融センターの構築を進めています。これは、新たな時代の経済成長を促進する上で極めて重要な取り組みであり、長期的なプロセスとなることが予想されています。
そのため、ベトナムは慎重なステップを踏みながら、ベトナムの特色を持ち、持続可能な金融センターの構築を目指しています。
拙速を避けつつも好機を逃さないという方針で、ベトナムは金融センターの構築に向けた8つの政策グループを策定しました。それに基づき、2030年までに世界の主要な金融センターで広く適用されている6つの政策を試験的に導入し、ベトナムの状況や国際基準に適合させながら運用を進め、2035年までの本格実施を目指しています。
ドォック委員長 写真撮影: Nguyen Phan |
この基本方針に沿って、政府は各省庁や地方行政府向けの49の具体的な解決策を盛り込んだ行動計画を発表しました。また、この目標を実現するための法的枠組みの整備も進めています。さらに、ベトナムでは首相を委員長とする「地域と国際金融センター指導委員会」が設立されました。
ホーチミン市とダナン市では、インフラ整備への投資促進、土地の確保、資源の調達、大手投資家や金融機関との政策協議など、金融センターの構築に向けた準備が積極的に進められています。ホーチミン市人民委員会のグエン・ヴァン・ドォック委員長は次のように明らかにしました。
(テープ)
「ホーチミン市は、金融センターの構築に際し、専門家や研究者、国際機関、コンサルティング機関、金融機関、企業などの協力を必要としています。また、世界の成功した金融センターの経験に基づく政策の提案や、資源の支援や有力投資家とのネットワーク形成を期待しています」
一方、ダナン市は、ドバイ国際金融センターなど、成功した国際金融センターのモデルを積極的に研究し、参考にしています。ダナン市人民委員会のホー・キー・ミン常務副委員長は、次のように語りました。
(テープ)
「ダナン国際金融センターの将来的な金融サービスの方向性を定めるため、関係機関との対話や情報共有を進めています。特に、グリーンファイナンス、デジタルバンキング、フィンテック、デジタルアセットといった分野に集中しています。これらは、今後のダナン市の発展に突破口を開くと期待されています」
金融センターがベトナム経済成長を促進する重要な役割を果たすためには、国内資本に加え、海外からの投資も必要な資源となります。金融センターには金融インフラへの投資が求められ、活動を監督・運営するための強固な法的枠組みが不可欠です。明確で透明性の高い規制の整備により、安定した法的環境の構築や、国際的な投資家や企業の参入の促進が図られるとしています。
グローバルな会計検査・財務コンサルティング企業の視点から、KPMGベトナム社のウォリック・クレイン代表取締役は次のような見解を述べました。
(テープ)
「ベトナムは、投資家が安心して投資を行い、企業経営者が自身の義務を正しく理解できるよう、数十年にわたり、財務報告のルールや基準を発展させてきました。その中には情報開示や財務報告の提供が含まれています。しかし、金融センターの構築においては、現在の国内基準にとどまらず、国際基準に適合した財務報告が求められます。私たちは、ベトナムが国際財務報告基準(IFRS)を導入したことを高く評価します。これは、国際金融センターの発展にとって重要な要素であり、すべてのステークホルダーにとっても有意義なものです」
国際金融センターは、金融業界において重要な橋渡しの役割を果たします。企業の発展を支援するための資金調達チャネルであると同時に、貿易の流れ、特に輸出や投資資金の円滑化に貢献することから、包括的な規制システムの構築にあたっては、金融面だけでなく、より広範な分野を考慮する必要があります。
先頃、開催されたベトナム国際金融センター指導委員会の会合で、ファム・ミン・チン首相は、金融センターの構築がベトナムにとって新たな挑戦であり、困難な課題でもあると強調し、関連法規や計画を引き続き整備し、慎重な準備を進める必要があると述べました。
特に、策定される政策は、国際競争力を持ち、ベトナムの発展状況やグリーンファイナンスやデジタルファイナンスといった優位性に適合する必要があります。
ベトナムは金融分野のさらなる開放を進め、国際金融機関が効率的で透明かつ公平に事業を展開できるよう、国際基準に則った最適な環境を整備していきます。地域および国際金融センターの設立は、ベトナム経済の競争力を強化するための戦略的なステップとなるでしょう。