今年、ベトナムは韓国、及びユーラシア経済連合とそれぞれ自由貿易協定を締結し、EU=欧州連合とのFTA=自由貿易協定の交渉を終結させたほか、他の11カ国とともにTPP=環太平洋経済連携協定の交渉で大筋合意を達成しました。これは2015年におけるベトナムの世界経済への参入の促進を目指す際立った活動であるとみられます。これら新世代の自由貿易協定は輸出や外国投資の誘致に拍車をかけ、今後におけるベトナム経済発展に道を切り開くと期待されています。
従来の自由貿易協定と比べ、新世代の自由貿易協定は貿易、通商、サービス、知的所有権、投資だけでなく、国営企業、公的購入、税関、持続的発展、非貿易問題も網羅しています。ベトナムが締結した、または交渉を済ませた自由貿易協定は関税の撤廃、貿易の自由化を図り、加盟諸国に様々なチャンスをもたらすとしています。2018年にベトナム・EU自由貿易協定が発効すれば、市場向けのベトナムの輸出品目の99%は0%になります。また、ベトナムのGDP=国内総生産は年平均0.5増、輸出額4%から6%増加すると見込まれています。これにより、2020年までに、EU向けのベトナムの輸出額は160億ドル増えると予測されています。一方で、韓国との自由貿易協定はベトナムの農産物に市場を開放するものとなります。こうした中、ベトナムとユーラシア経済連合との自由貿易協定の締結により、双方の商取引額は年平均18%から20%増となり、今後5年、100億ドルから120億ドルにのぼる見通しです。さらに、TPP発効後、2025年までにベトナムの輸出額は680億ドル増加するとしています。
これら新世代の自由貿易協定はベトナム企業に市場の拡大、貿易障壁の撤廃、関税の減免など様々なメリットを与えるとみられます。経済専門家であるボ・チ・タイン博士は次のように明らかにしました。
(テープ)
「私たちは繊維製品の輸出額をおよそ200億ドルに引き上げるという目標を設定しましたが、これらのFTAへの加盟により、この数字は400億ドルを突破する可能性があります。また、多くの労働者に雇用創出するでしょう。また、農産物もタイやインドなど農産物輸出大国と競争しなくてもTPP加盟諸国に進出することができます。」
他方、新世代の自由貿易協定への加盟でベトナムは外国投資の促進が図られます。最近、外国の大手企業はベトナムの糸生産や、紡績縫製、革靴、木工製品などの分野に投資を促進したり、生産を拡大したりしています。ちなみにサムスンや、インテル、マイクロソフト、LGなどの大手グループはハイテク製品、スマートフォンの生産への投資を強化し、今後5年から10年、ベトナム経済の発展に原動力をつけるでしょう。
ベトナムはEUやユーラシア経済連合、韓国、また、TPP加盟11カ国と自由貿易関係を結ぶことにより、輸出入市場のリバランスが図られると評価されています。これはベトナム経済の独立性と自主性の向上に寄与するとみられます。ホーチミン市商工局のグエン・ゴック・ホア副局長は次のように語りました。
(テープ)
「締結された各自由貿易協定は経済発展にチャンスをもたらします。また、TPP加盟により国際貿易関係の再均衡を図り、我が国の輸出額の60%と輸入額の75%を占めている東アジア、中国、ASEAN市場への依存度を低下させることができると思います。」
さらに、これらの自由貿易協定はベトナムの経済構造の整備に有利な条件を作り出す一方、市場の開放を規定するこれらの協定は全面的な改革を求めるため、ベトナムは市場経済体制の改革を進めなければなりません、商工省のブ・フイ・ホアン大臣は次のように語りました。
(テープ)
「ベトナムが締結した自由貿易協定から得られるメリットと利益はベトナムの国際社会への参入、経済再構築、成長モデルの刷新の促進に寄与すると思います。また、貿易投資関係の拡大にも役立つでしょう。」
現在、ベトナムの国際社会への参入は最盛期にあると評されています。これはベトナムに大きなチャンスをもたらす一方、試練が伴います。こうした背景の中で、ベトナムの管理機関と企業各社は競争力の向上、持続的な発展の達成に向け、周到な準備を行わなければならないとしています。