(VOVWORLD) - 北部山岳地帯ハザン省がトゥエンクアン省に編入され、ベトナム東北部の経済地図は戦略的な転換点を迎えました。
面積の拡大に加え、人口と観光資源も大幅に増加したことで、トゥエンクアン省はこれまで「解放区の首都」として知られてきましたが、今や「新たな山岳観光の中心地」としても注目されています。
広大な自然を背景に、地域経済を牽引する観光産業の発展が期待されています。
自然資源や文化遺産の価値を保全・活用しながら、観光開発を重点的に進める |
ハザン省とトゥエンクアン省は、地理・文化・交通インフラの面で自然なつながりを持っています。今回、ひとつの行政単位として統合されたことで、観光資源の活用からサービス、投資、商業まで、一体的に連動した観光バリューチェーンを構築する好機となっています。トゥエンクアン省文化・スポーツ・観光局のグエン・チュン・ゴック局長は次のように話しています。
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「今回の合併により、観光の発展空間がこれまでよりも大きく、そして多様になりました。歴史、信仰、文化、体験型、エコツーリズム、コミュニティベースド・ツーリズムなど、さまざまな形の観光を伸ばすことができます。特に地域住民が参加し、生活向上にもつながるコミュニティベースドツーリズムの推進に期待しています」
交通インフラが整備されれば、各観光地への移動時間は現在の半分程度に短縮される見通しです。
ナーハン、ラムビン、ドンバン、イエンミンなどの主要観光地は、これまでの「個別の目的地」ではなく、連続した「広域ルート」として結びつき、滞在期間の延長や観光消費の拡大にもつながるとみられています。
トゥエンクアン省観光促進センターのダン・クオック・スー所長は次のように語りました。
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「広い空間の中で、新しいトゥエンクアン省の観光地や観光商品を多角的に結びつけることができます。ベトバック革命根拠地・解放区から、ナーハン、ラムビンの名勝、さらにはドンバン高原ジオパークやホアンスフィ棚田まで、多彩な観光資源が一体となることで、企業や観光客にとって“新しいトゥエンクアン”をより深く体験できるようになります」
今回の合併により、トゥエンクアン省は観光産業を中心とした投資市場の拡大という新たな利点も手にしています。広い土地、若い労働力、そして豊かな自然・文化の生態系を備えた同省は、国内外の投資家にとって魅力的な目的地となりつつあります。
今年第4四半期までに、20件以上の大規模な観光・リゾート・サービス関連プロジェクトが現地調査を進めています。また、旅行、ホテル、コミュニティベースドツーリズム分野でも複数の企業が協力の可能性を探っており、エコリゾート、湖畔リゾート、さらに山岳地帯の標準化されたホームステイ整備など、多様な計画が打ち出されています。
Five Star Travel のルオン・ズイ・ザイン代表は、合併後の観光開発について次のように述べています。
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「ハザン省と旧トゥエンクアン省が一つになったことで、“新しいトゥエンクアン省”の観光には飛躍的な可能性が生まれました。旅行会社にとっても商品開発の幅が格段に広がります。例えば、ハノイ発2泊3日で、ルンク・クー、ドンバン、イエンミン、そして2日目にラムビンと、現在のトゥエンクアン省全域を一気に体験できるようになりました。」
合併は観光投資の呼び込みだけでなく、行政の観光マネジメントと促進能力の向上にも寄与しています。統一した仕組みのもとで、資源の共有、広域的な土地利用計画、大規模観光開発のための土地確保が進めやすくなりました。これにより、トゥエンクアン省は東北地域におけるエコツーリズムと文化観光の一大拠点へと成長し、2030年には観光が地元のGRDP=域内総生産の15%を担うことを目指しています。
経済専門家によれば、「拡大トゥエンクアン省」の誕生は、観光だけでなく商業、農産物、サービス、交通、都市インフラなど幅広い分野に波及効果をもたらすと指摘されています。
観光は宿泊・飲食といった直接的なサービス収入に加え、地域の消費を刺激し、数万人規模の雇用創出にもつながる重要な産業として期待されています。