(VOVWORLD) - ベトナム南中部高原地帯のザライ、ダクラク、カインホア、ラムドンの4省では、16日から22日にかけて記録的な豪雨と洪水に見舞われ、死者・行方不明者は100人以上、被害額はおよそ9兆ドンに達しています。
こうした中、政府と地方、国民が一体となって救助・復旧に取り組んでいます。
水が引き始めた地域では、軍隊や警察、各部隊が直ちに救助・捜索活動を継続し、住宅の片付けや道路の開通、環境衛生の確保などに全力を挙げています。中央政府は4省に対し、合わせて2兆4000億ドンの緊急支援を決定しました。
特別支援体制の発動
政治局と書記局は、党と国家の指導者を団長とする作業グループを4省に派遣し、被災状況を直接確認しながら復旧作業を指示しています。また、政治局は、被害が最も大きい4省を支援するため、ハノイ市がザライ省、ホーチミン市がカインホア省、ハイフォン市がダクラク省、クアンニン省がラムドン省をそれぞれ直接支援する特別メカニズムを発動しました。
ホーチミン市は発動直後から迅速に支援を開始し、カインホア省に500億ドンの緊急支援を提供したほか、災害救援チームを派遣しました。現地では1日1万2000食の炊き出しを行い、200トンを超える救援物資を被災地域へ輸送しています。また、同市の医療部門は毎日30~50人の医師・医療従事者を派遣し、被災者の診療や感染症対策を支援しています。ホーチミン市の若手医師協会の会員の一人は次のようにはなしました。
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「2時間ほどで医療チームを整え、すぐに出発しました。少しでも被災者を支えたいという思いです」
一方、ハイフォン市も、消毒薬や医薬品などをダクラク省に搬送したほか、300~500人の医療スタッフをいつでも派遣できる体制を整えています。
チン首相 被災地の早期安定と生活再建を目指す緊急会議を開く
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こうした中、海外出張中のファム・ミン・チン首相は南アフリカからオンラインで2回の緊急会議を開き、各省庁・機関に対して被災地の早期安定と生活再建を強く指示しました。
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「被災地の指導者は地域に密着し、住民に寄り添い、各級の指示に基づき、自らの地方や機関での対応を適切に進めてほしい。また、状況を十分に把握し、住民の生活を速やかに安定させ、日常生活を早期に回復させるとともに、生産や営業活動の復旧を急いでください」
全国から相次ぐ支援・再建への取り組み
ここ数日、各地の関係機関とともに、北部・中部・南部の住民が、中南部の被災者に向けて、食料、衣類、生活必需品などの支援物資を送り、温かい思いを寄せています。
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「直接行けない分、必需品を託しました。ホーチミン市の祖国戦線委員会と赤十字協会は、準備した支援物資を中部の被災地に届けます。物資が一日も早く被災者のもとに届き、少しでも力になれることを願っています」
(テープ)
「現物と義援金を送りました。子どもたちに暖かい服を届けたいです」
ダクラク省の被災者、ホー・ティ・フィ・イェンさんは救助隊への感謝をこう話します。
(テープ)
「救助がなければ助かりませんでした。命を救ってくれた皆さんに感謝しています」
被災地域では住宅の修繕、学校の再開、道路や橋の復旧、生活再建に向けた支援が急がれています。きょうから全国の機関や団体が一斉に募金運動を開始し、被災地の早期復旧を後押しすることにしています。
人々の助け合いの精神と、中央と地方行政府の迅速な行動が結びつくことで、被災地では少しずつ日常を取り戻しつつあります。困難な時ほど団結し、互いに支え合う力こそ、ベトナム社会の大きな強みです。