バン・ヴォンを祀る儀式

ザオ族の伝説によりますと、バン・ヴォンはザオ族の王で、侵略者からザオ族を守りました。また、バン・ヴォンは息子が6人、娘が6人いましたが、この12人はそれぞれ、異なる名字を持ち、これらはザオ族の最も多い12の名字であるとしています。こうしたバン・ヴォンはザオ族の先祖として祀られています。

ハザン省ホアンスフィー県タンミン村に住む祈祷師チエウ・チョイ・クイエンさんによりますと、ザオ族の家庭の祭壇で、その家庭の先祖のほか、バン・ヴォンと5人の神様が祀られています。そして、成人式やお墓参り、葬儀、お正月などザオ族の重要な行事は、バン・ヴォンを祀る儀式が行われます。クイエンさんは次のように話しました。

（テープ）

「かつてはバン・ヴォンを祀る儀式を行う際、その家庭の親族しか招かなかったものです。その家庭の親族はだれもが、その儀式の準備を手伝って、儀式に参加しなければなりませんでした。３日間連続で行った儀式もありました。大きな儀式を行えば、2、3回にわたって準備作業について話し合う集いを行うのが一般的でした。」

バン・ヴォンを祀る儀式で使われるお供え物は、豚、鶏、お酒、お米などですが、その中で、2匹の雄の豚と、2つのお酒のカゴが最も重要です。これらの豚とお酒は買うのがだめで、村人が自分の手で豚を飼育してお酒をつくらなければなりません。そのほか、祭礼・礼拝用の絵も欠かせないお供え物です。先ほどの祈祷師チエウ・チョイ・クイエンさんは次のように話しました。

（テープ）

「バン・ヴォンを祀る儀式で、7つの祈祷の詩が使われます。その中には、土地の神様を呼びだして、儀式を行う理由を発表する詩、土地の神様にバン・ヴォンを迎えてもらうような詩、村人に健康や幸福などを与えるようなお祈りをバン・ヴォンにする詩などがあります。」

儀式が終了後、村人は「亀をとる」という伝統的な踊りをします。この踊りは、昔のザオ族の生活を再現するものです。その後、村人は伝統的な遊戯を楽しみます。その意味で、バン・ヴォンを祀る儀式は、先祖の恩に報いるものであり、伝統文化の保存に役立つものでもあります。

ハザン省ホアンスフィー県党委員会のヴ・マイン・ハー委員長は次のように語りました。

（テープ）

「バン・ヴォンを祀る儀式は、ザオ族の伝統を保存・発揮させるものであり、地元の人々の団結を強めるものでもあると思います。儀式を通じて、地元の人々は、自らの民族の伝統や歴史をより理解するほか、生活や生産活動などについて経験を交換することができます。」

近年、バン・ヴォンを祀る儀式は国内外の観光客の多くを引き付けており、この地の観光の発展に弾みをつけると期待されています。