テイ族の琴「ティン」

(VOVWORLD) - 現在、民謡「テン」と琴「ティン」は依然として、テイ族の人々の精神生活に欠かせないものであり、さらに多くの観光客を引き付けるものでもあります。

ベトナムの53の少数民族の中で、テイ(Tay)族は人口が170万人ですから、最も人口の多い少数民族です。主に北部山岳地帯や西北地域のカオバン、ランソン、バクカン、ハーザン、ティグエン、ラオカイなどの各省に居住しているテイ族はは豊かな文化で知られていますが、その中で最も有名なのは、民謡「テン」です。民謡「テン」を歌う時に欠かせない楽器は琴「ティン」です。

(琴「ティン」の音)

テイ族の琴「ティン」 - ảnh 1

ティンは3本の弦を持つ弦楽器ですが、演奏するときは右の人差し指を使って弦を弾きます。テイ族の伝説によりますと、大昔、ティンは弦が12本ありました。その琴の音色は人間だけでなく、万物の心を奪ってしまったそうです。そのため、天の神様はティンの弦を12本から3本に減らしたと言い伝えられています。

琴ティンを作るためには職人の器用さが求めれます。ティン本体はひょうたんで作られていますが、そのひょうたんは大きすぎても小さすぎてもならず、その円周は60センチ~70センチぐらいです。また、ひょうたんは熟成したものでなければなりません。そうでないと、皮が厚くないので、いい音が出せないからです。カオバン省に住むティンの職人ダム・スアンホアさんは次のように話しました。

(テープ)

「熟成したひょうたんを選んで、口の部分を切り、その内部を取り除いてから、1週間ぐらい水に漬けます。その後、きれいに洗い、乾燥させます。そして、2、3日間ぐらい石灰水の中に漬けます。それは、   キクイムシ防止対策です。そうしないと、キクイムシにさらされて使い物にならないからです。」

ひょうたんは石灰水の中に漬けてから、また乾燥させます。その後、ひょうたんに穴を開けます。穴のサイズはひょうたんのサイズ次第ですが、それは職人の経験によるものです。先ほどの職人ダム・スアンホアさんは次のように話しました。

(テープ)

「かつて、ひょうたんの底に穴を開けたことがありますが、それはよい音が出ません。私の経験では、ひょうたんを6等分に分けて、それぞれの部所に9つの穴を開けますから、合計で54の穴ができます。小さいひょうたんは小さい穴を、大きいひょうたんは大きい穴を開けますが、引いてみて、いい音が出るまで、穴の大きさを調整します。」

テイ族の琴「ティン」 - ảnh 2

次は、表板を作ることです。琴ティンの表板は、柔らかい木でできていて、その厚みは3ミリほどです。

職人のホアさんによりますと、琴ティンを作るとき、指板(しばん)をつくることは最も気配りと繊細さが求められる工程です。指板は柔らかい木でできますが、その木は15年以上でなければなりません。指板は引手の手に基づいて作られますが、80センチ~100センチまでの長さが一般的です。指板の先には渦巻(スクロール)という部分があります。三日月の形をしている渦巻には、職人の性格や美意識を表わす模様が刻まれます。

琴ティンの職人ダム・スアンホアさんによりますと、いいティンを作るためには、音楽に対する職人の豊かな感性が重要です。そのため、職人はだれもが、民謡「テン」を上手に歌うことができます。

(テープ:ホアさんがティンを引きながら、テンを歌う音)

現在、民謡「テン」と琴「ティン」は依然として、テイ族の人々の精神生活に欠かせないものであり、さらに多くの観光客を引き付けるものでもあります。

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