錦織の保存に挑むマ族の取り組み

(VOVWORLD) - ベトナム中南部に居住しているマ(Ma)族はわずか4万人の人口を擁する少数民族ですが、豊かな文化で知られています。現在も、多くの伝統文化が保たれていますが、その中で、伝統的な錦織の保存は目を見張るべき成果を収めています。
錦織の保存に挑むマ族の取り組み - ảnh 1ノリエン村の錦織生産協同組合の職人たち

マ族の伝統文化について触れるならば、錦織を抜きにして語ることはできません。マ族の錦織は古くから伝わる職業です。手織りの錦はエレガントな模様が取り入れられ、マ族の文化や人柄を表します。マ族の女性は10才ごろになると、母親から錦の織り方を教わります。ですから、女性ならば、誰もが錦を織ることができます。マ族出身の女性たちの手先の器用さで作られる独特な衣服や布団、絨毯などはよく知られています。特筆すべきは、木で造られたとてもシンプルな機織り機で、女性たちは美しい紋様の錦を織れるということです。現在、工場で作られた布が流行っていますが、マ族の女性たちは昔のように、織機できれいな錦を作っています。マ族の錦織は、黒地ではなく、白地をベースにすることと、刺繍するとき、針を使わないことによって他の少数民族の錦織との異いが多いです。

ダクノン省ザギア県ノリエン村はマ族の居住地で、マ族の錦織の産地としても有名です。この村の錦織生産協同組合は近年、マ族の錦織を保存するため、周辺の人々に売るだけでなく、国内外に出荷する取り組みにも挑んでいます。2018年、ノリエン村のベテラン職人ホビンさんは他の7人の職人と協力して村の錦織生産協同組合を設立しました。ホビンさんの話です。

(テープ)

「我が民族の伝統文化を守りたいという考えで、錦織の技術を身につけることにしました。伝統的な錦織はマ族の文化を支える重要な職業ですからね。私は、村の女性にこの技術を教えるとともに、錦織を国内外に出荷するために、マーケティングクラスに参加しました。」

錦織の保存に挑むマ族の取り組み - ảnh 2夢中で錦織を作っているホビンさん

ホビンさんのような職人の取り組みにより、ノリエン村の錦織生産協同組合の商品はホーチミンやダナンなどの大都市の他、観光地があるラムドン省にも出荷されるようになっています。これにより、村の職人の収入が増えつつあります。そうした職人の一人ホモットさんは次のように話してくれました。

(テープ)

「錦織生産協同組合に入って以来、我が家の生活が改善されています。これからも、組合は村人の収入の増加と、伝統文化の保存に大きく貢献してゆくと信じています。」

現在、ノリエン村の錦織生産協同組合への注文が増えつつあるので、これらの注文に応えるために、村の職人全員をフル動員しています。しかし、組合は若者にこの技術を教えることを最優先課題としており、村の最も上手な職人ホバクさんに若者に教えるクラスの担当を頼んでいます。ホバクさんは次のように話してくれました。

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「私がこの仕事を始めたのは30年以上前のことです。また、この10年以上、この技術を若者に教えています。我が民族の独特な錦織に関する技術を全部若者に教えるために全力を尽くす決意です。」

現地行政府も、マ族の錦織を地元の観光商品と見なしており、この伝統的な職業の発展を促す多くの政策を講じています。ダクニア地区人民委員会のグエン・タイ・バンさんは次のように話しました。

(テープ)

「これからも、私たちは関連各省庁と連携して、マ族の錦織を作る職業をさらに発展させてゆきます。マ族の錦織は多くの観光客をひきつけているので、地元の観光発展に弾みをつけるでしょう。これは、地元の人々の収入の増加を促すとともに、伝統文化の保存につながってゆくと期待されています。」

ノリエン村の錦織生産協同組合は、これから、国内各地だけでなく、外国市場にも出荷するように計画を立てています。

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