この数年間、ベトナムは、経済社会発展事業への近代的科学技術の導入を促進し、多くの成果を収めてきました。具体的には、ベトナムがソフトウエア開発で世界各国のトップ10に入ったほか、胃腸炎と神経系の合併症を予防するロタワクチンを生産できる4カ国の1つとなったということです。こうした中、ベトナム政府は科学技術分野への企業の投資誘致を促進する方針を打ち出しています。
ベトナムは世界の近代的科学技術の多大な価値を十分に認識し、そのメリットを徹底的に活用するために取り組んでいます。IT=情報技術はその1例です。国際社会への参入とともに、ベトナムはIT開発に力を入れており、「迅速に学ぶ」、「迅速の発展を目指して学ぶ」、「先端技術の発展に突破口を開く」といった3つのスローガンを掲げています。
しかし、科学技術の導入は多くの問題を抱えています。中でも、その投資額がまだ低い水準にあることは差し迫った問題と見られています。統計によりますと、2014年における科学技術の導入のための投資額は国家予算の2%にしか相当しないおよそ7000万ドルにとどまりました。
これに関し、レー・ダン・ゾアイン博士は次のような見解を述べています。
(テープ)
「ベトナムの科学技術の研究と導入はまだ低い水準にあります。生産性に対する科学技術の貢献の割合は26%にとどまっています。韓国や、ASEAN緒国のその割合が50%を超えていることから見れば、これはとても低いといえます。つまり、現在のベトナム経済発展は主に安い人件費と支援金によるものです。これは持続的ものではありません。今後、科学技術の研究と導入への投資を強化する必要があります。」
一方、ブー・ミン・クオン博士は、「各企業の科学技術の研究・導入に原動力を作り出すために、具体的の優遇措置をとる必要がある」との見解を示し、次のように語りました。
(テープ)
「政府は、各企業が科学技術に関する情報を迅速にアプローチするように支援する必要があります。これは大きな問題です。シンガポールを例としてあげますが、同国の政府は、企業の科学技術の導入のための投資を対象に、税金を30%減税します。韓国も多くの優遇政策を実施しています。ベトナムはシンガポールと韓国の経験を学ぶ必要があります。これは官民連携方式の1種ですが、企業に利益をもたらします。」
実際、当局者もこれらの問題を認めています。チャン・バン・トゥン科学技術次官は「科学技術省は、税金や、借地代、技術移転などの面で、多くの優遇政策を出してきたが、各地方で、その適用がまだ効果をあげていない」とした上で、「今後、企業の科学技術の研究・導入に有利な条件を作り出すため、各地方、機関との連携を強化する」と明らかにしています。
トゥン次官は次のように語りました。
(テープ)
「現在は、政策が出されていますが、その実態はまだ効果をあげていません。これは今すぐ解決すべき問題です。今後、科学技術省は、財務省や、科学技術開発局、税務局などと連携して、政策の改正や、その実施などを進めます。特に、企業の科学技術の導入を奨励するために、各地方の税務局とともに優遇税制に関するガイダンスを作成します。」
自国の発展事業において、ベトナムは科学技術の役割を重視しており、今後、科学技術の研究・導入にさらに力を入れていく予定です。これは、企業の発展や、経済全体の発展に大きな利益をもたらすことでしょう。