サチャウ村の魚醤

(VOVWORLD) -新鮮な魚、白い塩、そして村民の巧みな手によって製造される魚醤は、海の恵みを凝縮したものでもあると見なされています。
サチャウ村の魚醤 - ảnh 1

かつてナムディン省ジャオトゥイ県ジャオチャウ村、現在はニンビン省ジャオフン村にあるサチャウ村は、従来からの魚醤づくりで知られる沿岸の村として知られています。新鮮な魚、白い塩、そして村民の巧みな手によって製造される魚醤は、海の恵みを凝縮したものでもあると見なされています。

サチャウ村での魚醤づくりは、この地の住民の生活と深く結びついた古くからの生業となっています。何世代にもわたり、村民は手作業の製法を守り続けています。手間と時間をかけた入念な工程と厳格な決まりが、他の魚醤と異なるサチャウ魚醤の品質と評判を築いています。

サチャウ村でおよそ50年魚醤づくりに携わってきたヴー・ズイ・ティンさんは次のように明らかにしました。
(テープ)
「我が村の魚醤づくりは200年あまりの歴史を誇っています。祖父母も両親も、そして義理の両親も皆、魚醤職人でした。1978年に結婚してからも、私たちはこの仕事を受け継ぎ、現在まで魚醤を作り続けています」
この上質な魚醤の主原料は、主にザオフン沿岸地域特有のイワシ、バラマンディ、アミエビなどです。特に、魚は冷凍せず、つぶれておらず、一年で最も脂が乗る時期に獲れたものだけを使うものです。晩冬から初春にかけての魚はいつも一番美味しく、栄養が不十分な幼魚や、内臓が大きくなりすぎ苦味が出る経魚は使いません。また、海から原料を運ぶ際には、匂いが移るのを避けるため、トタンやプラスチックの容器ではなく、竹で編んだ籠やザルを使います。
サチャウ村の魚醤職人、ヴー・ヴァン・ハイさんは次のように語っています。
(テープ)
「魚醤の原料は、エビ、魚、および塩です。食塩1.3kgに魚10kgを、また、食塩1.8kgにエビ10kgをまぶして混ぜ漬けこみます。原料の配合は月や季節によって変わります。水分が多い時期や、エビが太っている時期は塩の量を減らします。エビや魚を塩と混ぜる際は、均一に混ぜる必要があります。熟成期間は最低でも1年で、長く熟成させるほど魚醤の品質は高まり、美味しくなります」

サチャウ村の魚醤 - ảnh 2

新鮮な魚の他に、食塩もまた魚醤の品質を左右する重要な要素だそうです。魚醤に使う食塩は、ジャオフン村にある伝統的な塩田、バクローン村で調達されます。バクローンの食塩は、その塩分濃度とミネラル成分で定評があるからです。サチャウ村の魚醤職人、グエン・ヴァン・バーさんによりますと、食塩を仕入れる時期は4月末から5月末までで、大粒で白く、一粒ずつバラバラになった塩を選びます。この塩は、渋みを和らげ、魚醤にまろやかな甘みと風味を与えるため、倉庫で最低でも1年間熟成させる必要があるとのことです。

規定の割合で魚と食塩を混ぜ、自然に発酵させた後、6ヶ月経ってから、竹籠とガーゼを使って最初の魚醤を絞ります。この魚醤は、他の多くの地域とは異なり、火にかけることはせず、さらに6ヶ月間天日干しします。魚醤は、口の広い深さ20cmほどの陶器の甕に均一に入れられ、各家庭の庭に並べられます。昼間だけでなく、夜も露にさらすことで、さらに味が深まり、まろやかになります。火にかけていないため、雨水が大敵です。雨が降ると、どこにいようと、何をしていても、たとえ真夜中でも、魚醤職人は魚醤の入った甕を覆わなければなりません。

村民のグエン・ヴァン・ホアトさんは次のように明らかにしました。
(テープ)
「魚醤の美味しさは天気に左右されます。日差しが強ければ強いほど、良い魚醤ができます。もし不注意で雨水や生水が入ってしまうと、魚醤はダメになり、翌日には色が濁り、美味しくなくなってしまいます。だから、どれだけ忙しくても、常に誰かが気を配り、細心の注意を払う必要があります」
魚醤づくりに最適な季節は、毎年4月から10月にかけてです。強い日差しと高い気温が、魚醤を濃縮させ、甕の中の魚醤は琥珀色に輝き、塩、魚、太陽の恵みが一滴一滴に凝縮されます。

三代にわたって魚醤づくりを受け継いでいるヴー・ヴァン・フイさんは次のように述べています。
(テープ)
「魚醤を熟成させると、多くのガスが発生します。ガスを抜くためにかき混ぜる必要があります。私たちはそれを甕の中で熟成させます。魚醤が基準に達しているかどうかは、匂い、味、色の3つの基準で判断されます。匂いは、魚醤特有の匂い、味は塩辛いだけでなく、後から甘みが感じられるものでなければなりません」

サチャウ村の魚醤づくりが最も栄えた時期には400世帯がこの仕事に携わっていましたが、現在は約30世帯が生産を続けており、そのうち10世帯は大規模に生産し、年間平均45万~50万リットルの魚醤を生産しています。サチャウ魚醤は、特別な食品であり、地元の人々の誇りのそのものです。

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