海洋は地球の表面積のおよそ3分の2を占め、各国に様々な利益をもたらしています。そこで、海洋開発をする際、各国は協力や相互理解を強化する必要があるとしています。また、海洋の安全保障や繁栄に向けての安定的な環境づくりは沿海諸国の共通の利益と責任となっています。
国際情勢が複雑に推移している背景の中で、各国が競争優位を持つため、海上での紛争をエスカレートさせています。最近、東シナ海とベトナム東部海域(南シナ海)で岩礁の埋め立てや人工島の建設など軍事拠点化が進められていることや、国際法に従わない主権主張による緊張情勢が深刻になってきました。こうした事情を前に、衝突の最小限の抑制、互恵を基礎とする協力を目指す協力体制を見出すことは必至の問題です。
海上の安全保障、第一の関心事
先週、ベトナム北部クアンニン省、ハロン市で「国際協力とアジア・欧州の経験交換」と題する海洋開発と安全保障に関する国際シンポジウムが行なわれ、アジアと欧州からの代表180人あまりが参加しました。2日間にわたるシンポジウムで、出席者らは伝統的及び非伝統的な海上の安全保障を目指す協力強化措置について討議した際、競争がエスカレートしている現在、協力は死活問題となるとの見解を示しました。外務省のダン・ディン・クイ次官は次のように語りました。
(テープ)
「海上の安全保障は重要な問題です。海上の紛争が深刻となって、衝突危機が隠されている海域は広がっています。これらは各国間の信頼醸成と協力への努力を脅かしています。」
シンポジウムでアジアと欧州の専門家らは協力と情報、経験の交換の重要性を強調しました。また、アジア諸国は欧州で適用されている有効な安全保障体制を見習う必要性ががあるとの意見が相次ぎました。
さらに情報、データの収集、交換は海上の安全保障に害を加える行動を防止するための効果的な方法であるとしています。ASEAN=東南アジア諸国連合はテロや海賊など様々な海上の安全保障問題に直面していることから、航行の自由と安全を確保するため、情報収集システムをつくる必要があるとの意見が出されました。一方、違法漁獲はアジアの海上の安全保障を脅かしている大きな問題であり、その解決には広範な多国間協力体制や高い政治的決意を必要とするとみられます。ドイツの国際安全保障問題研究院のフェリックス・ヘイダク博士は次のように語りました。
(テープ)
「枠組なし状態から抜け出すため、我々は紛争の抑制を目指す新枠組を設定すると同時に競争や違法な主権主張を回避し、天然資源の開発や漁獲など具体的な分野で協力を強化する必要があります。ベトナムの東部海域での過剰漁獲により、海の資源が枯渇にさらされています。」
信頼醸成と予防外交を強化
ベトナム東部海域での衝突の軽減、協力の強化は去る14日、改めて中国の雲南省で開催されたASEAN中国外相会議で主要議題として取り上げられました。また、各国はベトナム東部海域の平和と安全の確保に向けての決意を表明するとともに信頼醸成や予防外交を促進し、国際法の基本的な原則を遵守した上で、国際法に従って、平和的措置で、紛争を解決することで一致しました。