写真:Mai Chiến/VTV Times

ラック村は、元々、寺院や拝殿向けの漆器や彫像で有名でした。何世代にも受け継がれるなかで、いつからか、住民らは漆器と彫像の芸術を人形の命を吹き込むために取り入れてきました。

ラック村の人形は、多くの精巧な工程を経て制作されます。細部にわたる彫刻から、色彩豊かな塗装、複雑な操作システムの設置に至るまで、そのすべてが丹念に行われます。それぞれの人形は単なる静止した像ではなく、魂を持った「登場人物」であり、それぞれが独自の物語を宿しています。それらは、労働や生産の日常生活、民間信仰、あるいは民族の歴史や伝説を忠実に反映しています。

「ナムチャン」という名の水上人形劇団の団長であるファン・ヴァン・チェンさんは、次のように述べています。
(テープ)
「人形の造形において最も難しいのは、労働者、農民といった人々の社会生活に自然に溶け込み、一体感を出すことです。彼らの息遣いや表情、笑顔を現代の生活にいかに融合させるかが課題となります」

ラック村の職人たちは、生き生きとした人形を自ら制作するだけでなく、演目の構成から人形の直接操作に至るまで、水上人形劇の完全な公演プログラムを作り上げるため、全ての工程を手掛けています。現在、職人たちは18種類以上の伝統的な人形劇を保存し、定期的に上演しています。ほとんどの演目にはセリフがなく、表現豊かな動きと、伝統楽器を組み合わせた民俗的な音色が魅力的な芸術空間を創りだしています。
水上人形劇団の主な観客は観光客であるため、公演内容も変化しています。劇団は観光客のために様々な場所で公演を行ったり、移動式の水上舞台を使って自宅で公演したりしています。このことは、先祖が水上人形劇に込めた独自性や人間性を若い世代に伝える機会も生み出しています。
「ナムチャン」人形劇団の副団長であるダン・ヴァン・ベン氏は次のように語っています。

(テープ)
「私たちは、先人から受け継いだ伝統的な人形劇の技法を今も守り続けています。しかし、現代社会のニーズに応えるため、今後は学生向けや年齢層に合わせた新たな演目を創作していく予定です。今日の社会のニーズに応える必要があります」

ラック村の水上人形劇は、国内の多くの省・市での公演に招かれているほか、日本、フランス、スウェーデン、西欧諸国などでも披露され、観衆から愛され、高く評価されてきました。この芸能が消滅しないよう、職人たちは、従来からの演目を保存する一方で、昔話や伝説、あるいは現代生活を題材に、新たな演目を創作します。これは、特に若い世代の観客を引きつけ、魅力を高めることを目的としています。さらに、ラック村は人形制作工房の発展に特に力を入れています。ここは魂のこもった人形が生まれる場であるだけでなく、ベテラン職人が彫刻、漆工芸の技術を若い世代に伝える空間でもあります。これらの工房が活発に存在し活動することで、公演の「魂」の源が確保され、この芸能の命脈が維持されています。

チェン職人は次のように語っています。
(テープ)
「学生時代に祖父から受け継いだ水上人形作りの技を私はさらに発展させてきました。機械を導入し、塗装職人や彫刻職人、そして同じ情熱を持つ仲間たちを集めて制作に励んでいます。現在、私たちの工房には、国内の人形劇団から信頼を得ている優秀な職人チームがおり、人形劇用の人形を専門に制作しています」

観光業の発展に伴い、村の水上人形職人たちは市場のニーズをいち早く捉え、小型で持ち運びやすい水上人形の土産物制作に着手しました。これにより、収益を確保するだけでなく、故郷の民俗芸能である水上人形劇を広く紹介し、宣伝することにも貢献しています。現在、ラック村には7つの水上人形土産物加工世帯があります。

マインさん（写真:Mai Chiến/VTV Times)

水上人形劇団「ソンクエ」団長のファン・ヴァン・マインさんは、次のように語っています。

(テープ)
「木製人形の土産は、縮小された模型にすぎません。私がこの人形劇の仕事に携わるのは、祖父と父がこの道の職人だったからで、いつの間にか私の中にも染み付いていました。この人形劇の仕事がとても好きで、自分にとって何か非常に身近なものであると感じています」

ラック村の水上人形劇は、単なる民俗芸術の一種に留まらず、ベトナムの伝統文化の力強い生命力を象徴するものです。世代を超えた職人たちの愛情、情熱、そして絶え間ない努力、特に制作工房の維持、伝統工芸村観光の推進、積極的に行われる公演団の活動を通じて、ラック村の水上人形劇はこれからも、この土地と人々、そしてベトナム民族のルーツとアイデンティティについての物語を語り継いでいくでしょう。