グエン・フー・チョン書記長は、ホーチミン時代から続く特徴的な「竹のような外交」の伝統を重視しました。この外交手法は、しなやかさと強靭さを兼ね備えた竹の性質になぞらえたものです。書記長自身がこの外交理念を創造的かつ柔軟に実践し、ベトナムと諸外国との友好関係を構築しました。同時に、大国との関係バランスを巧みに保ちながら、今日の激動する国際情勢の中でベトナムの地位向上を実現しました。

国際的な視野を持つチョン書記長は、ベトナムを現在の堅固な基盤、豊かな潜在力、確固たる地位、そして高い国際的信用を持つ国家へと導きました。過去10年以上にわたるベトナムの外交成果には、書記長の重要かつ歴史的な足跡が色濃く刻まれています。この期間のベトナムの外交的成功は、チョン書記長の先見性と外交手腕を如実に示すものと言えるでしょう。

書記長の指導下での重要な転換点

2021年の第13回党大会以降、ベトナムの外交活動は極めて活発かつ継続的に展開され、ベトナムの外交政策の顕著な特徴となりました。特に注目を集めたのは、グエン・フー・チョン書記長による首脳レベル外交でした。

例えば、2023年には中国の習近平国家主席、アメリカのジョー・バイデン大統領、ラオスのトンルン・シースリット国家主席、カンボジアのフン・セン人民党党首との会談が行われました。さらに最近では、ロシアのプーチン大統領との会談も実現しました。

ベトナム共産党の最高指導者として、チョン書記長は多くの重要な外交活動に自ら参加し、ベトナムと各国との関係に歴史的な転換点をもたらしました。これにより、国際社会におけるベトナムの地位、信頼性、イメージを大きく向上させることに成功しました。

チョン書記長が推進した外交路線は、ベトナムの友好国を増やし、競争相手を減らすという点で非常に効果的でした。わずか9ヶ月という短期間に世界の主要3大国の首脳を迎えた国は稀であり、これはチョン書記長の外交手腕の成果と言えるでしょう。

ロン准教授

この一連の外交活動は、ベトナムの国際的な地位向上と、多角的な外交関係の構築における重要な転換点となりました。オーストラリア国立大学ベトナム政策研究センター所長で、ベトナム・オーストラリア知識人・専門家協会副会長のチュ・ホアン・ロン准教授は次のように評価しています。

（テープ）

「チョン書記長の功績は極めて大きく、ベトナムの外交関係、とりわけ米国、EU、ロシア、中国といった主要国との関係に、バランスと安定をもたらした決定的要因と言えます。世界の大国の首脳、例えば米国大統領、ロシア大統領、中国共産党総書記兼国家主席が相次いでベトナムを公式訪問したことは、決して偶然ではありません。さらに、2019年に米国のトランプ大統領と朝鮮の金正恩委員長がハノイでの会談に合意したことも、偶然の産物ではないでしょう。私は、チョン書記長が上級指導者チームと協力し、ベトナムの外交における戦略的バランスの構築に決定的な役割を果たしたと確信しています」

グエン・フー・チョン書記長は、近隣諸国や伝統的な友好国との関係強化にも多大な貢献をしました。

まず、ラオスとの関係では、両国の党、国家、そして国民間の深い友好関係、特別な団結、そして包括的な協力を育成しました。

中国との関係においては、「同志であり兄弟」という伝統的な友好関係を継承し、さらに発展させました。中国共産党および中国の指導者たちとの間に深い信頼関係を構築することに成功しました。

カンボジアに対しては、強固な兄弟的友好関係の強化に尽力しました。カンボジア人民党とベトナム共産党の間だけでなく、両国の政府や国民レベルでの緊密な協力関係の促進にも粘り強く取り組みました。

Joy 臨時代理大使(VGP/Quang Thương撮影)

さらに、地理的に遠く離れたキューバにおいても、チョン書記長はベトナムとキューバの特別な友好関係を推進する重要な人物として高く評価されています。在ベトナムキューバ大使館のJoy Puentes Saldise臨時代理大使は次のように述べています。

（テープ）

「グエン・フー・チョン書記長は、キューバにとって偉大な友人です。彼は様々な指導的立場において、計5回もキューバを訪問しており、異なる任期を通じて最もキューバを訪れたベトナムの指導者の一人と言えるでしょう。チョン書記長は、その立場を生かし、常にベトナムとキューバの経済・貿易関係の促進に尽力してきました。さらに、両国の共産党間での政治的経験の交換を強化し、特にイデオロギー分野での交流を積極的に推進してきました」

戦略的ビジョン

グエン・フー・チョン書記長は、単に友好の架け橋としての役割を果たすだけでなく、戦略的ビジョンと深い理論的思考を持ち合わせていました。チョン書記長はベトナムの外交理論体系を総括し、「根は強固、幹は堅固、枝は柔軟」という特徴を持つ「竹のような外交」路線を構築しました。

この外交路線において、「根が強固」とは、国家と民族の利益のために独立自主の精神を保ち、多様化・多角化した外交を堅持することを意味します。「幹が堅固」とは、党の直接指導の下で政治システム全体の団結力を結集し、民族の力と時代の力、自力更生の意志と国際的連帯支持の力を組み合わせることを表します。そして「枝が柔軟」とは、創造的で柔軟な対応を可能にする外交の芸術的スタイルを指します。

この「竹のような外交」は、ベトナムの伝統的な強さと柔軟性を象徴的に表現しており、変化の激しい国際情勢に適応しつつ、国家の利益を守るための巧みな戦略と言えるでしょう。

ブイ・タイン・ソン外相は次のように述べています。

（テープ）

「過去10年以上にわたるベトナムの外交的成果には、グエン・フー・チョン書記長の重要かつ歴史的な足跡が刻まれています。彼の知性、ビジョン、そして深い政治的洞察力を活かし、党中央委員会、政治局、書記局と協力しながら、書記長は党と国家の主要な外交方針を策定しました。さらに、党の路線を効果的に実施するよう指導するだけでなく、戦略的な視点を持って自ら首脳レベルの外交活動にも積極的に参加しました。書記長の多大な貢献により、ベトナムの外交はあらゆる分野において新たな高みに到達しました。」

ベトナムの近年の外交成果は、党全体、国民全体の努力の結果ですが、その中でもチョン書記長の指導が決定的な役割を果たしたといえます。チョン書記長の戦略的な外交活動と深い理論的思考は、ベトナムに前例のない国際的地位と信用をもたらしました。