(VOVWORLD) -刺繍は根気、緻密さ、そして創造性を要する作業で、ザオ・ティエン族の女性がスカーフや帽子を一枚仕上げるには数日かかります。より凝った衣装やバッグの場合、完成までに数週間、時には数ヶ月かかることもあります。
ベトナム北部タイグエン省デオゾー村に暮らす少数民族ザオ・ティエン(Dao Tiền)族にとって、刺繍は生活に欠かせない一部です。
バン・ティ・タインさんも、他の女性たちと同様、幼い頃から母や祖母から刺繍の技法を教わりました。タインさんによりますと、刺繍は根気、緻密さ、そして創造性を要する作業で、ザオ・ティエン族の女性がスカーフや帽子を一枚仕上げるには数日かかります。より凝った衣装やバッグの場合、完成までに数週間、時には数ヶ月かかることもあります。40年以上にわたり刺繍針を手に取ってきたタインさんは、今、村の多くの若い女性たちにその技を伝えています。
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「若い人たちに民族の伝統的な刺繍を教えることは、とても誇らしいことです。もし教えなければ、いつか私たちの文化は失われてしまうでしょうからです」
2023年には、ガンソン県女性連合会の支援を受け、20人のメンバーからなる「デオゾー刺繍」グループが結成されました。しかし、立ち上げ当初は、生産量が少なく、品質にばらつきがあり、宣伝や顧客へのアプローチも非効率的で、製品を地域外に売り出すには多くの困難がありました。しかし、女性連合会が開催した技術研修や販売指導の講座のおかげで、メンバーたちは徐々に自信をつけていきました。彼女たちは正確な刺繍技術だけでなく、文化の魂を保ちながらも調和のとれた配色を学ぶようになりました。
鳥、動物、山、花といった特徴的なモチーフが生き生きと表現され、それぞれの製品が文化の物語を伝えています。藍色、アイボリー、赤、緑といった基本的な色合いに銀のアクセサリーを組み合わせることで、デオゾー村の女性たちは、独自性とユニークさを備えた伝統衣装を作り上げ、次第に顧客から愛されるようになりました。
デオゾー刺繍グループのメンバーであるダン・ティ・タインさんは次のように述べています。
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「私たちのグループでは、上着、帽子、ズボン、そして様々な種類のバッグを刺繍しています。こうした製品は、手間と時間がかかります。一番人気があるのは、比較的シンプルなスカーフや帽子ですね」
女性たちは、直接販売だけでなく、テクノロジーを活用して市場を拡大しています。メンバーのバン・ティ・フオンさんは次のように語りました。
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「今はソーシャルネットワークがあるので、とても便利です。刺繍グループには何かあればZaloやMessengerなどのソーシャルネットワークでやり取りできます。インターネットで販売もしていて、お客さんからの注文もネットに投稿すると早くて便利です。」
こうした大胆で創造的な取り組みにより、現在では帽子、上着、スカーフからハンドバッグ、ショルダーバッグまで30種類以上の刺繍製品が、北部のハノイ、ハイフォン市、カオバン省などで販売されており、価格は15万ドン(約900円)から50万ドン(約3000円)です。女性たちは、朝や夕方、夜の空き時間を活用して収入を得ています。
もう一人のメンバーであるリー・ティ・ランさんは、この協力モデルが経済を改善するだけでなく、近所との絆も強めていると話しています。
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「メンバー同士で助け合い、教え合いながら作っています。私はザオ・ティエン族の模様、犬や鳥、民族衣装の刺繍に参加しています。模様があれば、それを見て学びます」
今や、デオゾー村在住ザオ・ティエン族の女性たちが、ライブ配信をしたり、ソーシャルネットワークや、電子商取引サイトに製品を投稿したりする光景はお馴染みになりました。彼女たちは伝統的な技術を守りながら、自ら考え、実行、起業し、テクノロジーを積極的に活用して経済的に自立する、山岳地帯の女性の新たな役割を確立しています。
デジタル時代の流れの中で、デオゾー村の女性たちは、独自のアイデンティティを守り、伝統的な仕事を持続可能な生計に変え、他の多くの山岳地帯の女性たちに、自らの人生を切り開く自信と動機を与えています。