フンイエン省トゥーチー刺繍村の新たな方向性

(VOVWORLD) - かつては朝廷の官僚の帽子や衣装の刺繍で知られていましたが、現在は、肖像画や風景画の刺繍へと発展を遂げています。

ベトナム北部フンイエン省ヴートゥー県トゥーチー村の刺繍は1825年に始まり、およそ200年の歴史を誇る伝統工芸となっています。かつては朝廷の官僚の帽子や衣装の刺繍で知られていましたが、現在は、肖像画や風景画の刺繍へと発展を遂げています。

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「この地域はフンイエン省の純粋な農業地帯です。20世紀初頭にグエン・ニュー・カンさん、グエン・ニュー・カさん、グエン・ギアさんらが他所で刺繍技術を学び、村に持ち帰ったことが、トゥーチー刺繍村の存続と発展のきっかけとなりました」

フンイエン省トゥーチー刺繍村の新たな方向性 - ảnh 1刺繍職人たち、丹念に美しい風景画を仕上げていく(写真:Đình Châu/VOV2)

これはヴートゥー県にある「タインナム」という名前の刺繍会社のレ・スアン・ホイ社長の言葉でした。

20世紀の70年代から80年代は、トゥーチー村が巨大な刺繍工房となり、数千世帯がこの仕事に従事するほど繁栄を極めました。老若男女を問わず誰もが刺繍を学び、村の刺繍製品はソ連や東欧諸国へ輸出されるほど有名になりました。しかし、90年代に入ると市場が縮小し、価格競争力が低下したため、トゥーチーの刺繍製品は次第に衰退しました。それでも、地元の幹部たちは故郷の刺繍製品のために新たな市場を見つけようと努力し、取引先が戻ると、トゥーチーの刺繍職人たちは枠をつくり、工房を開き、刺繍業を立て直しました。

トゥーチー村の村民であるドー・スアン・フオンさんは次のように語っています。

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「90年代は危機的な時期でした。その後、伝統工芸に情熱を傾ける職人たちが各地を訪れ、製品の販売路を探していました。それ以来、村民たちは引き続き伝統工芸を維持するとともに、経済発展もとげています。」

現在、トゥーチー刺繍村を訪れると、穏やかで生き生きとした田園風景を描いた刺繍画や、細密な肖像画を簡単に見つけることができます。これらは職人たちが三次元空間で表現した作品です。トゥーチー村の刺繍職人、ファム・ティ・ベーさんは次のように述べています。

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「美しい絵を作るには情熱が必要です。遠景や近景がどのようなものかを想像しなければ、うまく刺繍することはできません。本物の景色を正確に想像してこそ、美しい絵が刺繍できるのです」

フンイエン省トゥーチー刺繍村の新たな方向性 - ảnh 2刺繍職人グエン・カオ・ビンさん、主席府で執務するホーチミン主席の刺繍画を仕上げる(写真:Đình Châu/VOV2)

トゥーチー村で、グエン・カオ・ビンさんの工房は有名な刺繍画の制作地です。ここを訪れると、何万もの色糸と職人の巧みな手によって生み出された刺繍画を鑑賞することができます。風景画だけでなく、政治家の肖像画、特にホー・チ・ミン主席の肖像画は、グエン・カオ・ビンさんが特に力を入れているテーマです。

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「肖像の刺繍画は非常に難しく、似ていなければお客様は購入しません。私が作ったほとんどの刺繍画は実物と似ており、95%以上の再現率に達しています。私は、ホー・チ・ミン主席と、ヴォー・グエン・ザップ大将の肖像画も刺繍しました。これらは本当に私の生涯の傑作です。私はホー・チ・ミン主席を尊敬しているので、ホー・チ・ミン主席の絵を刺繍し、飾っています」

豊かなデザイン、高品質で繊細な製品、そして手頃な価格により、トゥーチー村の刺繍製品は国内市場だけでなく、アメリカ、フランス、イタリア、日本、韓国、台湾(中国)にも輸出されています。特に、数十社の海外パートナーが仲介業者を介さずにトゥーチーの企業と直接契約を結んでいます。トゥアンズオン、ミーロン、ホアンフン、トゥアンロンなどの多くの刺繍企業がこの村の伝統工芸から誕生しました。

トゥアンズオン刺繍輸出会社のホアン・ディン・チエム社長は次のように述べています。

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「1990年から1994年にかけて、村は刺繍業を回復させました。刺繍の品質はお客様の要求に応え、納期も厳守し、刺繍模様に針目の間違いはありません。私たちの願いは、この精巧な手刺繍の技術を受け継ぎ、守っていくことです」

トゥーチーは現在、ベトナム国内における有名な伝統刺繍村の一つです。高品質で繊細な製品は国内外の市場で認められ、刺繍職人の才能と技術、そして村の繁栄を証明しています。刺繍業はトゥーチーの人々の生活を変えるだけでなく、地元の農村部の新たな発展にも貢献しています。

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