ASEAN、ベトナム東部海域問題でコンセンサスを示す
最近、中国はベトナム東部海域(南シナ海)で人工島の建設や岩礁の埋め立て、軍事拠点化を一方的に進めており、ASEAN=東南アジア諸国をはじめ、国際社会の深い懸念を招いています。ASEAN共同体が発足してから、加盟諸国は東部海域問題に対する自国の役割への認識を高め、解決策の模索に尽力している姿勢を示しました。
現在、東部海域問題は主権を主張している国々だけでなく、ASEANをはじめ、同海域から利益を得ている各国もの関心事となっています。
団結を強化
去る2月、アメリカのカリフォルニア州で開催されたアメリカ・ASEAN首脳会議では領土紛争が取り上げられたものの、共同声明は東部海域を明確に指しませんでした。また、双方は「それぞれの国の主権と国際法の尊重」を呼びかけました。アナリストらは「共同声明は中国を名指ししなかったことはASEAN諸国間の亀裂を示し、その団結を破壊しているとの見解を示しました。しかし、アメリカ・ASEAN首脳会議から一週間後の2月27日、ラオスの首都ビエンチャンで行なわれたASEAN外相会議はベトナム東部海域問題に関する強い声明を出しました。会議で、外相らは東部海域問題に関する具体的な解決策を打ち出し、その中で「あらゆる紛争を平和的措置で解決した際、外交と国際法の原則を尊重し、武力による威嚇、又は武力の行使をしない」と強調しました。ASEANの正式な声明は平和的外交措置の傍ら、法律戦も取り上げたのは今回が初めてです。ベトナム公安省・戦略研究院元院長のレ・バン・クオン准教授は次のように語りました。
(テープ)
「これは前向きな反応だと思います。ASEAN10カ国は共通運命があり、重要な地位を持っています。こうした国際情勢の中でASEANは地位と世界を連結する中核的な役割を発揮しなければなりません。」
ASEAN外相会議の議長声明にも「ASEANは東部海域問題の複雑な推移、とりわけ地域の平和、安定、安全保障を脅かしている大規模な埋め立てや軍事拠点化活動に深く懸念している。ASEANは同海域の非軍事化と自制を呼びかける」ことが強調されています。ベトナム東部海域研究院のグエン・ブ・トゥン准教授は次のような見解を述べました。
(テープ)
「東部海域の情勢が強調されたことは緊張情勢のエスカレートを見せました。中国の行動は国際法、1982年国連海洋法、また、二国間、多国間声明に逆行したものです。ASEAN諸国にとって、中国のこの行動は領土紛争に関して、隣接小国に圧力をかけるような振興大国の行動だと思います。中国の行動は各国の信頼に悪影響を与えています。」
ASEAN外相会議で東部海域問題はオープンに討議されました。ラオスのトンルン・シースリット副首相兼外相はラオスはASEAN議長国として加盟諸国と中国との協力を促進し、DOC=海上行動宣言の完全履行とCOC=海上行動規範の早期作成が狙いであると明らかにしました。一方、シンガポールは海上で偶発的な衝突を避けるため、CUES=海上衝突回避規範を提案しました。また、2016年のASEAN・中国関係のコーディネーターとしてCOCの早期作成に尽力すると確約しました。
ASEANの中核的な役割を発揮
現実的にみて、ベトナム東部海域の最近の動きはASEAN諸国の深い懸念を招いた一方、同海域で進められている軍事拠点化活動は地域の安全保障を脅かしていることが分かりました。今後、ASEAN諸国はどのようにすればこの問題を解決できるかが大きな問題となっています。ASEANは共同体となって、共通運命を持っている背景の中で地域の発展方向を定め、国際問題を解決するに際し、ASEAN内の団結は第一義に位置づけなければなりません。