アン リスナーの皆さん、アンです。新年あけましておめでとうございます。
ホアイ ホアイです。あけましておめでとうございます。旧年中は、VOV=ベトナムの声放送局の日本語放送をお聴きくださり、多くのご意見やご感想をお寄せ下さり、誠にありがとうございました。
アン 本年もどうぞ、よろしくお願いいたします。
ホアイ 皆様のご健康とご多幸をお祈り申し上げます。
アン 2020年の初日に当たり、「ベトナムにおける人工知能の将来」をテーマにした特殊番組をお送りいたします。
ホアイ リスナーの皆さん、発展途上国であるベトナムは、国際社会参入への道を辿っています。第四次産業革命は世界中で流行っています。ベトナムは、第四次産業革命に適応しつつあります。中でも、AI=人工知能技術を活用する製品やサービスを発展しています。
アン そうですね。人工知能は今、新しい製品やサービスとして、少しずつ私たちの社会や生活に入り込んできており、人々の日常生活の利便性の向上に貢献しています。
ホアイ AI=人工知能は、人間の脳が行っている認識、思考、学習といった能力と活動を、コンピュータなどを使って模倣し再現するシステムです。世界ではAI は、技術部門の必要な一部になり、生活上の様々な問題の解決に役立っています。ベトナムでも、AIが大きな注目を集めているようです。
(テープ)
「人工知能は生活のあらゆる分野に入り込んでいます。ベトナムでは、AI技術導入の研究は、大学や大手企業などで行われています。ベトナムにおける人工知能はさらに発展してゆくでしょう。」
「将来的には、人工知能は特別に感心される分野の一つであると思います。ベトナムには、多くの組織がAI技術導入の研究を集中しています。将来、人工知能の適応は人件費の大幅な節約に貢献するでしょう。」
アン 第四次産業革命は人々の生活に役立つ様々な技術を生み出していることが分りました。
ホアイ 現在のスマートフォンは、「Google翻訳」、あるいは、「Googleアシスタント」や「Siri(シリ)」、「Bixby(ビクスビー)」などのAIアシスタントを搭載しています。インターネットの利用者が最も多い世界20カ国のリストに入るベトナムの国民、特に若者たちは、スマホを日常的に使いこなしています。特に、多くのベトナム人消費者はスマートフォンを用いてオンラインで商品の事前注文・決済を行う電子決済サービスを取り扱っています。
(テープ)
「電子決済サービスは早くて、便利ですからね。オンラインによる商品の注文と決済という傾向は日々発展されると私は信じています。」
ホアイ インターネットが幅広く普及される時代に生まれた若者たちにとって、先進的技術の応用は彼らの生活に欠かせない一部の存在です。
ベトナムのある学生の話です。
(テープ)
「私は、AIを搭載した多くのオンライン学習サイトや、Webを利用していますよ。例えば、自動文法チェッカーのWEBサービスとか、文章校正ソフトなどです。あるいは、ユーチューブを利用して、メイクアップレビューや韓国の音楽などの動画をよく見ますよ。」
アン やはり、人工知能はベトナムの社会や生活に出現しつつありますね。
ホアイ そうですね。今日の生活の中でAIの普及について、ベトナムの地場情報通信技術企業のCMC技術グループに属する技術応用研究所のダン・ミン・トアン所長は次のような見解を述べています。
(テープ)
「インダストリー4.0に関わる技術を初めとする一般情報技術、例えば、AI、ビッグデータ (Big data)、ブロックチェーン( Blockchain)などは、生活の中に浸透し、社会生活を変化させました。従って、技術の進歩を応用する新しい製品や新しい業界などが生み出される一方、従来の業界がだんだんなくなってきました。」
アン 実際、ベトナムの政府、各省庁、部門、共同体は、AIの適応に向けた様々な措置を講じています。トアン所長はまた、次のように明らかにしました。
(テープ)
「この数年間、AI応用技術は特別に関心をもたれるようになりました。例えば、科学技術省は、第四次産業革命に対応できる基礎技術の開発プログラムを実現しています。また、殆どの大手企業やグループ、そして多くのスタートアップ企業は、AI応用技術の研究を行っています。殆どの大きな大学は、AI応用技術の教育プログラムを実現しています。そして、学生、生徒たちも、AI応用技術の教育に参加していますよ。」
ホアイ ベトナムでは、FPTグループは、エンドユーザーとの自動化されたインタラクションに役立つ開発者向け人工知能プラットフォーム「FPT AI」を開発しました。この人工知能アルゴリズムは最新機械学習技術を適用しています。プラットフォームは、自然言語インターフェース向けFPT AI会話プラットフォームと音声インターフェイス向けFPT.AIスピーチの2つのコンポーネントで構成されます。FPTグループの代表リ・ビエット・タン氏は次のように明らかにしました。
(テープ)
「私たちは5年前に、人工知能プラットフォーム「FPT AI」を研究しました。最初のモジュールはスピーチでした。現在、ユーチューブ上のオンライン読書クリップは人工知能プラットフォーム「FPT AI」を活用していますよ。」
アン 他方、ベトナムの最先端テクノロジー・スタートアップ企業「アビビン(Abivin)」は、人工知能を活用して物流効率化サービスを提供する会社です。
ホアイ この会社は、アメリカ・サンフランシスコで開催された「スタートアップ・ワールドカップ2019」で40カ国あまりからのライバルを破って、優勝しました。この結果により、アビビン社は優勝投資賞金100万USD(約1億円)を獲得しました。
アン これに先立ち、このスタートアップは、ベトナム科学技術省の主催による国家インベンション・イノベーションフェスティバル「Techfest Vietnam 2018」でも優勝しました。アビビン社の最高執行責任者ホアン・アンさんは次のように述べています。
(テープ)
「当社の運営過程に、私たちは、自分で最適な方向を確定しなければなりませんでした。様々なチャンネルを通して、顧客を探してきました。」
ホアイ 最近、VOV=ベトナムの声放送局のR&D研究開発センターはVAIS=ベトナムAIシステム会社と協力して、マイクから集音した音声を、AI=人工知能を活用した音声認識技術により、自動文字起こし(テキスト化)を行うことに成功しました。これはVOVのジャーナリストと編集員の業務の効率化に役立っています。VAISの経営責任者ドゥ・コク・チン さんは次のように語りました。
(テープ)
「VAISはジャーナリストが毎日、マイクから収集した音声をテキスト化させる時間を短縮できるように助けることができます。現在、情報セキュリティ確保は優先課題であることから、この技術はこの面でも多くのメリットがあります」
ホアイ 現在、ベトナムでAIを導入する産業が日増しに増えています。その中で、商取引分野で事業活動を行っているAI会社は29%を、輸送とロジスティクス分野では18%を占めています。総人口9600万人を擁する大規模な市場とインターネットと携帯電話を利用している人々が多く、そして、安定した経済成長と政府の支援により、AI分野で事業活動を行っているベトナムの各会社は大きな潜在力があるとされています。
アン ベトナムのAI共同体は前向きに発展し、ベトナムの商標を持つ製品を作り出していることは明らかです。
世界各国はいずれもAI 発展戦略を作成し、この技術を経済成長の加速の核心的な要素としていますが、ベトナムは世界のAI地図において、どこに立っているか?そして、ベトナムはこの分野の発展のためどのように準備をしているかについて、トアン所長は次のように明らかにしました。
(テープ)
「実際、ベトナムが世界のAI地図にどこに立っているかを明らかにする研究はまだありませんが、世界のAI共同体の発展に対するベトナムの貢献はまだ少ないと言えます。しかし、ベトナムはこの分野に関して、前向きな認識を持っています。各企業はAI開発に深い関心を示しています。AIの重要性を認識する分野で、地域内諸国と比べて、ベトナムは先駆けています。」
ホアイ トアン所長によりますと、ベトナムはAI 開発の重要性を認識しており、この分野を発展させる決意を固めていますが、これを実現するためには様々な困難に直面しているようです。
(テープ)
「AI技術を導入する時、多くの障壁にぶつかります。まず、これは法的枠組みが技術の急速な発展に追い付かないということです。その他、人材に関する困難です。他の試練として挙げられるのはAIを大幅に導入するため、大規模なデーターベースを要するということです。私達はこれらの困難を乗り越えなければなりません」
アン AI を第4次産業革命において突破的な技術にするため、ベトナムは多くの試練に直面していますが、多くの有利な条件に恵まれています。これらはオープンな経営環境、数学と技術が得意な人材、9600万人の人口を擁する市場、最近締結された多くの経済連携協定などです。
ホアイ 2014年からベトナム政府はAIを優先的に投資、開発する技術のリストに盛り込みました。そして、2018年末、科学技術省は2025年までのAI研究、開発計画を作成しました。その目的はAIの研究、開発、応用を強化し、いくつかの分野でこの技術を発展させるということです。2019年に初めて行われたAI祭りで、科学技術省のチュ・ゴック・アイン大臣は次のように語りました。
(テープ)
「世界の科学技術分野の急速な発展を前に、科学技術省は政府にAIを始め、いくつかの先進的技術を強化する政策をアドバイスしてきました。最近、科学技術省は2025年までのAI研究、開発計画を作成しました。」
アン また、政府はこの分野への人材誘致のための優遇政策を取ってきました。アメリカのシリコンバレーを含め、AI分野で活躍している大手企業で勤務した経験があるファム・キム・クオン さんは次のように語りました。
(テープ)
「運良く、帰国してから政府と関連各部門が熱心に歓迎してくれました。現在、私達は国の発展のため全力を尽くすという新しい任務を果たしています。私は他の100人の知識人と連携して仕事をしています」
アン AI技術の基盤づくりに力を入れると共に、ベトナムは人材育成を重視しています。スマートシティの開発分野で事業活動を行って、フランスのパリに本部を置くファーストリンク(Firstlin)社のチャン・クアン・タン社長は次のように語りました。
(テープ)
「ベトナムは聡明で、学習する用意がある若者が多いという有利な条件に恵まれています。これはベトナムの未来の発展の潜在力です。現在、ベトナムの各大学や大学院はより優秀な人材を育成することに力を入れています」
ホアイ 若い人口が多く、政府と関連各部門の支援により、ベトナムのAI分野の将来が明るいことを期待できますが、ベトナムのAI分野の今後の発展について、トアン所長は次のような見解を明らかにしました。
(テープ)
「近い将来、ベトナムは地域においてAIが急速に発展する国として知られるようになると思います。ベトナムのAI技術はベトナムの経済発展に寄与するだけでなく、世界のAI研究コミュニティにとっても貢献する見通しです。今日のフラット化する世界で、価値ある製品ならば、その影響力は非常に大きいからです。
アン 今後、ベトナムは多くの困難に直面しながら、AIの時代に入りますが、ベトナムはこれらの困難を乗り越えるための対策を取っています。AIの時代に入るため、ベトナムはこの分野で活躍する人材の育成を強化し、AIエコシステムを形成しています。
ホアイ 2020年に入り、ベトナムは新しい技術の時代に入る態勢を十分に整っています。
アン 以上、「ベトナムにおける人工知能の将来」についてお伝えしました。