ベトナム共産党第12回全国代表大会に提出される大会報告議案は戦略的な目標を調整しました。従って、「2020年までにベトナムが基本的に近代的な工業国になる」という目標を「ベトナムが早期に近代的な工業国になるための基盤づくり」に調整しました。
1991年に、行われた第7回党大会で、決議された「2020年までに近代的な工業国になる」という目標はなかなか達成できません。その要因は、ベトナムは経済再構築事業が途上中であること、長年にわたり、従来の成長モデルを維持しているということです。これまで、ベトナムの工業は素材の加工や安い人件費に依存しています。また、経済成長は天然資源の開発やODA=政府開発援助によるものです。
発展に向けあらゆるチャンスを活用
第13期国会議員であり、経済専門家であるチャン・ズ・リック博士は今後、飛躍的な経済発展を遂げるためには安定的なマクロ経済と高まっている地位から得るメリットを最大限に活用する必要がある」との見解を示し、次のように語りました。
(テープ)
「潜在力と地位の面から見て、今後5年間、再構築事業をより順調に行い、国の工業化を加速させることができることがわかります。第7回党大会が打ち出した課題はいくつかあります。第1は、体制改革を促進させること。第2は国内のあらゆる財源を生かすこと。第3は人材を効果的に活用することです。」
一方、国外在留ベトナム人との連絡協会副事務局長のファム・ザ・ミン博士は近代的な工業国の基準を定める必要があり、その中で、経済と社会の発展度合を反映する基準を重視する必要があるとの意見を述べました。また、今後、工業化現代化の促進に際し、社会主義を志向する市場経済の発展、国際社会への参入を知的経済の発展、質の高い人材育成と連携させ、進めなければならないとしています。ミン氏は次のように語りました。
(テープ)
「韓国や台湾、シンガポールの取引サービスモデルを導入するのがよいと思います。国の実状に沿って、これらの国の経験を学び、人事整理を行なう必要があります。国際社会への参入を進めるためには、仕事効率を上げなければなりません。」
人間は発展を左右する
他方、ハノイ国家大学のブ・ズオン・ニン教授によりますと、工業国を建設するためには工業生産の要求に応えられるような労働力を用意しなければなりません。2020年までに、ベトナムが基本的に近代的な工業国になるという目標を掲げていますが、農業国の生産様式や古い習慣が残っており、工業国の建設に支障を来たしています。ニン教授は次のような見解を述べました。
(テープ)
「工業国へと成長するために、労働者の仕事マナーを工業生産に見合うように改善しなければなりません。また、生産から、生活、社会活動まで、規則を守る意識を芽生えさせる必要があります。これは我々の弱点だと思います。」
ベトナム共産党はこれらの目標を達成するため、「2020年まで」という期限を「早期に」と調整しました。これは臨機応変に実状に対応するとともに引き続き工業国づくりという目標を実施してゆくことが狙いです。