カテー祭りは、先人たちの功績を偲び、神々への感謝を捧げる場。祭りは塔廟での儀式から始まり、村へ、そして各家庭へと、順を追って執り行われていきます。

(カテー祭りの音)

このカテー祭りで欠かせないのが、料理の供え物です。

チャム族の食文化は、古くから祭祀と深く結びついてきました。料理人たちは祭りの日に向けて腕を振るい、チャム族ならではの味を丁寧に作り上げていきます。

祭りの席に必ず並ぶのは、ご飯、淡水魚と野菜のスープ、茹で鶏、果物、酒、お茶、もち米、バナナ。そして欠かせないのが、伝統的な菓子の数々です。生姜菓子、バインテット、バインイット、そしてバインサカヤと呼ばれるプリン状の菓子など、代々受け継がれてきたものばかりです。

なかでも、生姜菓子はチャム族の祭りを語るうえで外せない一品です。シンプルな材料の中に、先祖への思いが丁寧に込められたお菓子です。

ラムドン省に暮らすグエン・ティ・サンさんは、その作り方を次のように教えてくれました。

(テープ)

「伝統的なお正月には生姜菓子が欠かせません。材料は卵、もち米の粉、そして砂糖。生姜とバニラを加えることで、あの独特のいい香りが生まれます。何があっても、先祖へのお供えに生姜菓子だけは欠かせません。」

お菓子のほか、チャム族ならではのおかずも多様です。同じくラムドン省のヴァン・ティ・キム・タインさんの話です。

(テープ)

「菓子だけで10皿、おかずも10皿。スープに焼き魚、煮魚、鶏のスープ、そしてご飯。これが祭りの基本の膳です。今はチャム族の暮らしも豊かになりましたから、カレーや鴨料理を加える家も出てきました。でも、基本の料理だけは、どの家でも必ず揃えます。」

時代が変わっても、受け継がれてきた献立の形は変わりません。そこにチャム族の人々の、祖先への敬意が表れています。

一方、塔廟での神事にのみ許される特別な料理もあります。茹でヤギとバナナの花のサラダを添えたヤギ肉スープです。この料理は神殿でのみ捧げられるものとされており、各家庭の祭りでは供えることができません。神々と日常の暮らし、その境界線を守ることもまた、チャム族の信仰の一部なのです。

供え物の並べ方にも、深い意味が込められています。

ラムドン省のラム・タン・ビンさんは次のように語ります。

(テープ)

「チャム族の供え物には段階的な考え方があります。チャム語で『タペイ・ヌン・ラ・サカヤ・アンガオク』と呼ばれる飾り方で、とても美しく芸術的に並べられます。丸い形のサカヤは大地のように女性の象徴。長い形のタペイ・ヌンは男性の象徴ですが、下に置かれます。チャム族は母系社会。女性の貞節を称え、男性は支える存在として、この並べ方に表されているんです。」

料理の盛り付けひとつに、チャム族の世界観と家族への思いが映し出されています。

カテー祭りの供え物はすべて、ある共通の願いのもとに作られています。それは、神々や天地の加護を願うこと、そして祖先への感謝を伝えること。

ベトナムには「水を飲む者はその源を忘れない」という言葉があります。チャム族の人々が毎年丹精込めて料理を作り、先祖の前に供える姿には、この言葉がそのまま生きているように思えます。

塔廟に響く祈りの声、家々から漂う料理の香り。カテー祭りは今もなお、チャム族の人々の手によって、丁寧に受け継がれています。