ベトナムは54の民族から成る多民族国家です。クメール族はそのうちの一つで、約150万人が南部メコンデルタのカントー、アンザン、ヴィンロン、ドンタップなどの省に暮らしています。彼らの精神的な支えとなっているのが、上座部仏教、いわゆる「南宗仏教」です。

ベトナム政府はすべての民族の信仰・宗教の自由を一貫して尊重し、その保障に努めています。2016年に制定された「信仰・宗教法」は2018年から施行され、クメール系住民を含む各宗教の信者が、法律の枠組みの中で安心して信仰活動を営む権利を保障しています。

クメール南宗仏教の僧侶の育成・研修について、国家とベトナム仏教教会は積極的に支援しています。多くの僧侶たちが、インド、スリランカ、タイ、カンボジア、ミャンマーなど海外の大学院で仏教学を学んでいます。また、2006年にカントー市に設立された「クメール南宗仏教学院」は、ベトナム仏教教会直属の4つの学院の一つで、仏教学の学士教育を通じてメコンデルタ地域の寺院を支える僧侶の育成に重要な役割を担っています。

地域社会においても、クメール系住民の声は政治に反映されています。多くの僧侶や信徒が各級の人民議会議員やベトナム祖国戦線委員会のメンバーとして活躍しています。アンザン省オーラム村の人民委員会副委員長、ニアン・サム・ボー氏は次のように述べています。

(テープ)

「オーラム村にはクメール系住民が多く暮らしています。地域住民の信仰の自由の確保と尊重に、村として全力で取り組んでいます。毎年、地方当局は住民が祭りや宗教活動を開催できるよう条件を整え、各寺院が年間の宗教儀礼を滞りなく執り行えるよう支援しています。また、信仰・宗教施設が法律の枠組みの中で適切に活動できるよう、指導にも努めています。」

クメール系住民は多様で豊かな文化を持ち、それは幾世代にもわたって受け継がれてきました。主な祭りとしては、旧暦8月末から9月初めにかけて寺院で先祖への祈りを捧げる「センドルタ」、毎年4月中旬に行われるクメール族のお正月「チョル・チュナム・トマイ」、そして旧暦10月15日に農作物をつかさどるとされる月の神への感謝を捧げる「オクオムボック祭」などがあります。これらの祭りには毎年、多くの住民が集い、にぎわいを見せています。

寺院の維持・整備にも、国と地方当局が毎年資金を援助しています。とりわけ生活が苦しい地域の寺院を中心に修繕・改築が進み、住民の信仰生活の場として整備されています。アンザン省に暮らすクメール系住民のチャウ・ニョーさんの話です。

(テープ)

「寺参りでは、健康で平和であること、商売繁盛、作物の豊作、そして暮らしの豊かさと幸せを願います。寺に行けばみんなで仲良く集えますし、舞踊や伝統楽器の演奏、演劇なども楽しめます。地域の人たちはみな、寺参りをとても喜んでいます。」

国はクメール系住民を対象とする社会福祉にも特別な関心を寄せています。アンザン省仏教協会副会長でサー・ロン寺住職のチャウ・ソン・ヒー師は次のように話しています。

(テープ)

「国家の政策は、住民の社会保障への手厚い配慮を示しています。新農村建設事業が進んだことで、農村と都市の格差は大きく縮まりました。以前の農村では遠くまで井戸水を汲みに行かなければなりませんでしたが、今は清潔な水道が各家庭に引かれています。電灯も灯り、病院や学校も立派に整備されました。都市と農村の生活水準は、今やほぼ同じ水準にまで近づいています。」

クメール南宗仏教はベトナム仏教教会の一員として、民族とともに歩み、平和で豊かな国づくりに貢献しています。信仰の自由の保障と生活環境の整備――ベトナム政府のこうした継続的な取り組みが、クメール系住民の暮らしをしっかりと支えています。