中国船がベトナム船に放水している様子(写真:ベトナム海洋警察)

既にお伝えしましたように、中国がベトナムの大陸棚にリグ981号を設置したことについて、ベトナムの弁護士、国際法研究者らは、中国の違反行為を明確にする為の多くの法的証拠を出しました。彼らは「中国が1982年の国連海洋法条約を故意に歪曲させ、紛争の無い海域を紛争海域とさせる為に意図的に概念を変え、ベトナム東部海域、いわゆる南シナ海を段階的に独占している」と訴えました。

UNCLOS 1982年の国連海洋法条約の第57条は「沿岸国は自国の領海に接続する水域で、領海基線から200海里までの水域を排他的経済水域として宣言することができる」と規定しています。また、同条約の第76条も定義するところの大陸棚と領海をこえ領土の自然の延長をたどって大陸縁辺部の外縁に至るまでか、または大陸縁辺部の外縁が領海基線から200海里の距離まで延びていない場合には基線から200海里の距離までの、海底とその地下とされます。そこで、この条約に基き、ベトナムのリーソン島から119海里離れた所に設置された中国のリグはベトナムの排他的経済水域と大陸棚の奥にあったことが分かりました。

中国には歴史面でも、法律面でも違反がありました。それは先ず、中国側の見解では、リグの設置場所はベトナムのホアンサ群島、つまり中国語名:西沙諸島の海域にあるということでした。この見解に従ってみると、中国は1974年に武力を行使して、ホアンサ群島を違法に占拠した事件で、国連条約を重大に違反しました。

ベトナム外交学院のグェン・ラン・アン博士は次の証拠を示しました。

(テープ)

「1945年の第二次世界大戦の終結後、国連憲章は世界中の平和、安定の維持を目的として生まれました。この憲章は『平和、紛争解決は加盟国の拘束的義務の一つである』という規定を盛り込んでいます。又、加盟国に対し、武力による威嚇又は武力の行使を禁止しています。しかし、1974年の事件により、当時に国連憲章の加盟国である中国は国連憲章に明白に違反しました。この行動は、

ホアンサ群島における中国の合法的主権を主張できないということです。」

これまでに、ベトナムはホアンサ群島とチュンサ群島に対する中国の主権を一切認めませんでした。国際社会も、この海域における中国の主権を認定しないとい

うことです。そこで、中国側の見解には法的価値は全くありません。

1982年の国連海洋法条約に明確に規定されている排他的経済水域と大陸棚を持つ沿岸国の領有権と裁判権に重大に違反しただけでなく、中国は航行の自由にも違反しており、地域内の平和、安全保障を脅かしています。去る5月5日に、中国海事局は掘削装置周辺3海里以内への立ち入りを禁止する通告を出していました。このことについて、先ほどのランアン博士は次のように強調しています。

(テープ)

「多くの船舶や航空機を動員して、ベトナムのみならず世界中の全ての国々の船舶の航行の自由権に違反しました。ベトナム海洋警察の船舶が中国のリグから7~10海里も離れた海域へ立ち入るだけで、中国の軍事船を含む全ての船舶から脅かされました。つまり、この行動は、この海域へ立ち入る他国の船舶にもおよぶ可能性もあります。ベトナム東部海域は世界における重要な交易の地域となっています。この地域へ立ち入った、いかなる船舶でも阻害されれば、航行の自由違反という1982年の国連海洋法条約の第58条に違反した行為となります。」

国連憲章、1982年の国連海洋法条約、国際海事機関の海上における衝突の予防のための国際規則に関する条約、及びASEAN東南アジア諸国連合と中国間の公約などの現行の法的文書の規定に基き、中国は国際法を無視して、沿海の隣国の主権に深刻に違反しました。

ベトナムのレタンソン弁護士によりますと、ベトナムの大陸棚にリグを設置した行動は中国の領海独占戦略の一歩です。例えば、フィリピンのスカボロー礁(中国名:黄岩­島)の領有権をめぐって、中国は「これは排他的経済水域の重複海域にある」という概念を故意に主張しており、自国が主張している九段線を長期間に認定される領海にする意欲を現実化させました。ソン弁護士は次のように語りました。

(テープ)

「中国は紛争の無い海域を紛争海域に変えました。紛争が発生すると、彼らは領有権を宣言します。それは、極めて危険なことです。中国は世界各国に自国の掘削設備設置地域が紛争海域であることを理解するよう主張しています。しかし、ベトナム側はこの主張を断固として拒否し、これは紛争海域ではなく、侵略行為に過ぎないと強調しています。」

ベトナムはホアンサ群島とチュンサ群島に対する主権、及び排他的経済水域、大陸棚に対する領有権と裁判権を示す十分な法的歴史的根拠を持っています。

両国関係の大局を重視するベトナムは地域内の平和と発展の為に、対話を通じて平和的解決を主張しています。