ウクライナ情勢は緊張が増しています。ウクライナ東部では、ロシア系住民によるデモ隊が依然2つの都市で政府庁舎の占拠を続けていて、暫定政権は強制排除も辞さない構えですが、現地の当局からは事態の悪化を懸念する声も出ていて、難しい対応を迫られています。

米ロ外相(写真:Tintuc)
ウクライナ東部のドネツクとルガンスクではロシア系住民によるデモ隊が、州議会や治安機関の建物の占拠を続けています。このうち、ドネツクではデモ隊が有刺鉄線や古いタイヤで議会の周りを囲み、厳重な警備体制を敷いていて、来月11日までに住民投票を行って自治権の強化を目指す徹底抗戦の構えを崩していません。
クリミアのようなシナリオ
ウクライナ東部の情勢はウクライナ政権と西側諸国に深い懸念をもたらしています。こうした事態を受けて、アメリカのケリー国務長官は7日、ロシアのラブロフ外相と電話で会談し「東部の動きについて、ウクライナ政府がロシアの支援を受けた組織的なものだと主張していることを注視している」と述べ、強い懸念を伝えました。
そして「ウクライナをこれ以上不安定にすれば、ロシアは代償を払うことになる」と述べ、事態が悪化した場合にはロシアへの制裁の強化も辞さない構えを示しました。これに対しラブロフ外相は「ウクライナ憲法の改正に取り組むべきだ」と述べ、連邦制を導入してロシア系住民による自治を拡大すべきとの立場を強調しました。
行き詰まりの打開策不透明
米ロ両国は今後10日以内に、ウクライナとEU=ヨーロッパ連合の4者で協議する方針で合意しましたが、ウクライナ東部での新たな動きを受けて、米ロ両国の対立が一段と悪化しかねない状況となっています。こうした中、ケリー国務長官とラブロフ外相が9日、2度にわたり電話会談しました。
親ロシア派が政府庁舎を占拠して分離独立などを求めているウクライナ東部の情勢について協議し、武力の使用を回避し、対話によって問題解決を目指すことで一致しました。ただ、アメリカがロシアの特殊部隊や工作員が背後で関与しているとして批判を強めているのに対し、ロシア側はウクライナに連邦制を導入してロシア系住民による自治を拡大すべきだと訴えるなど、依然双方の立場に大きな隔たりがあります。
このため米ロ両国は来週にも、ウクライナとEU=欧州連合とともに4者で対応を協議することにしていますが、事態打開に向けた解決策が見いだせるかどうかは不透明な情勢です。
