欧州委員会のウルズラ・フォン・デア・ライエン委員長、2025年7月16日、ベルギー・ブリュッセルで行われた次期7年間のEU予算案に関する記者会見で発言する(写真:REUTERS/Yves Herman)

欧州連合(EU)の欧州委員会は16日、2028年から2034年までの7年間の予算総額として2兆ユーロ(およそ2兆3100億ドル)を提示するとともに、これまで重点を置いてきた農業や地域開発向けの支出を全面的に見直し、経済競争力の向上と防衛を新たに重視する方針を示しました。

フォンデアライエン欧州委員長は記者団に対し、「これは欧州の野心に合致し、欧州の課題に向き合い、われわれの独立性を強化する予算だ。予算規模は大きくなり、より賢く、切れ味を増している。欧州の市民、企業、パートナー、そして未来のために成果をもたらす」と強調しました。

欧州委員会によりますと、今回の予算規模は、加盟27か国の合計国民総所得(GNI)の1.26%に相当し、現行の2020~2027年の予算における1.13%を上回っています。

新たに創設される欧州競争力基金には、欧州の防衛産業の基盤拡充や技術革新の推進、クリーンエネルギーへの移行支援などを目的として、4510億ユーロが充てられる見通しです。また、防衛・宇宙分野には個別に1310億ユーロが割り当てられ、これは現行予算の5倍に相当します。

予算の大部分は加盟各国が拠出しますが、欧州委員会は、域内で事業活動を行い、純売上高が1億ユーロを超える企業に対して新たな課税を導入するなど、独自の財源拡大も提案しています。

また、今回の予算とは別枠で、ウクライナへの支援として1000億ユーロを用意する案も盛り込まれています。

今後、すべての加盟国および欧州議会の承認を得るため、数年にわたる協議が行われる見通しです。

こうした中、ハンガリーのオルバン首相は、この予算案についてX(旧ツイッター)に「グローバリストの官僚たち」が「欧州の資金をウクライナに投入する」策略を練っていると投稿し、予算案は不公正であり、交渉の対象にすらならないと強く批判しました。(ロイター)